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がんと闘わない生き方(12)渡辺 亨著『がん常識の嘘』批判

がんと闘わない生き方(12)渡辺 亨著『がん常識の嘘』批判
抗がん剤が再発・転移のリスク減らせるというが根拠示すデータはなし


c0006568_15142260.jpg この本は2006年2月に朝日新聞社から出版されています。「がん常識の嘘」を暴く事実も書かれているのですが、腫瘍内科医である渡辺亨氏(浜松オンコロジーセンター)の都合のよいように事実が非論理的に歪められ、データも示さずに抗がん剤治療に誘導する結論になっています。

早期発見・早期治療の無理を指摘

 渡辺氏は、がんの「転移は、いままで考えられていたよりもっと早い時期、つまり原発臓器にがんができるのと並行して起きている可能性があるのです。この考え方は乳がんなどではむしろ主流になってきています」と述べ、「がんにも、最初にできたところにとどまりやすいタイプ(局所型)と、がんができるやいなやすぐに転移して、あちこちの臓器に移っていくもの(全身型)」があり、早期発見・早期治療のパラダイムでは全身型のがんには対応できないとして、現在のがん治療の趨勢を批判しています。このようなことが分かってきたのは「実は最近のこと」と述べていますが、こんなことは15年以上前に近藤誠氏が本に書いていました。今になってこのことを認めざるを得なくなったのには何か理由があるのでしょうか。

 渡辺氏は全身型のがんの例として、肺の小細胞がんと一部の乳がんを挙げ、両方ともタチは悪いが、新しい抗がん剤や分子標的薬によって治療成績が向上しているとし、早期に見つけなくても、がんの性格を見極めて治療すればよい、としています。しかし、この本にその抗がん剤や分子標的薬が確かに効くというデータは載っていません。

 また、渡辺氏はがん検診によって治療する必要のない、放置しても大きくならない(または消えてしまう)病変を見つけて手術してしまう害についても書いており、「一部の研究者はこれを“がんもどき”と称しています」と述べています。近藤氏のことだとすぐにわかります。過剰診療について指摘したのは、評価できる点ですが、これは渡辺氏が腫瘍内科医で手術が減ると困る外科医ではないからかもしれません。

「意味」のないがん検診を「努力目標」に挙げる矛盾

 がん検診についても、意味のあるのはマンモグラフィを用いた乳がん検診と細胞診を用いた子宮頚がんぐらいで(根拠は書いていません)、国や地方自治体が躍起になって促進しているその他のがん検診には科学的なお墨付きがないことを明らかにしています。その後で、乳がんでしこりを自覚したときには、がんができて既に何年か経っており、そのがんの性格は既に明らかになっていること、もしタチの悪いがんならば、検診でみつかっても自分でしこりを見つけても、死亡時期は同じとも書いています。

 あれれ、それなら乳がん検診に意味はないのでは? タチの悪いがんは検診で見つけても遅いし、逆にタチのよいがんなら、検診で早期に見つけなくても自覚してから治療すれば治るのですから。

 たぶん、渡辺氏も乳がん検診に意味がないことはわかっているのだと思います。でもそれを言ってしまうと検診推進派から叩かれるので、言えないのでしょう。でも、渡辺氏は根は正直な人なので、つい本音が出てしまったのでしょう。そして、すぐその後にがん検診そのものを否定しているわけではないと続けています。自分で「意味がない」としておきながら、どうして「とりあえずの努力目標として検診は有用」という結論が出るのか、摩訶不思議としか言いようがありません。ちなみに近藤氏の意見については、「検診無用論は乱暴にすぎる」としていますが、なぜ乱暴なのかの説明はありません。

抗がん剤が、再発・転移のリスクを減らせるという根拠は?

 渡辺氏はこの後、抗がん剤についても近藤氏を持ち出して、抗がん剤の副作用について患者に正確な情報が伝わっていないことに加え、「一時期、ある医師が『抗がん剤は副作用ばかり強いうえに、ほとんど効果がない』と過激に、断定的に主張し」、それは「正しい抗がん剤治療を勉強していない医師の不適切な治療に対して警鐘を鳴らした、という意義はあった」が、「ちょっと過激だったため、抗がん剤治療全体にはマイナスのイメージを植え付けてしまったよう」だと書いています。

 腫瘍内科医である渡辺氏は、抗がん剤の副作用対策は進歩していると述べ、以前に比べるとはるかに楽になってきていると言います。また、転移・再発のリスクを減らすことができるので、少々の副作用を耐える意味はあると説きますが、リスクを減らせることを証明するデータは一つも提示していません。

 渡辺氏は著書の第6章で「抗がん剤は世代交代が起きている」とし、分子標的薬であるハーセプチンを絶賛し、ご自身が行ったハーセプチンの臨床試験について書いています。第1相試験として、日本で初めてハーセプチンの投与を受けた乳がんの患者さんに重篤な副作用が出たことを書いていますが、第1相試験とは治らない患者さんに実験台になってもらう毒性試験であることは何も書いていません。

 抗がん剤の臨床試験に看過できない問題があることは、近藤氏が『ぼくがすすめるがん治療』(文藝春秋)に詳しく書いています。そこには患者を臨床試験に誘う時のインフォームド・コンセントが適切に行われているかには疑問があり、毒性検査だと知れば協力する患者はいなくなるだろうと書かれています。

数字のトリックを説明しながらデータは示さない

 また、第7章では「がん医療をめぐる数字のトリック」として5年生存率に意味がないことやEBM(科学的根拠に基づく医療)がもてやはされるが、EBMとされるものは玉石混交であり、さまざまなバイアス(偏り)がかかっていることを指摘しています。これも、近藤氏や『がん検診の大罪』の著者である岡田正彦氏が指摘していることです。しかし、近藤氏や岡田氏がたくさんの具体的なデータを詳しく論じているのに対して、渡辺氏は具体的なデータを一つも提示していません。

 「あとがき」を読んで、最後の最後でがっくりしました。「不勉強のため間違った記載や、不適切な表現もあるかもしれません。お気づきの点はご指摘ください」。えーっ! こんなのあり?! 

化学療法を勧めている本で、論理の飛躍や矛盾がないものはない

 近藤誠氏は、渡辺氏のこの本とは全く逆にたくさんのデータをもとに抗がん剤の本を書いています。その名も『データで見る 抗がん剤のやめ方始め方』(三省堂)。説得力のあるデータ(グラフ)が載っています。近藤氏は、その本の「あとがき」で次のように書いています。

 「化学療法を勧めている本で、論理の飛躍や矛盾がないものはありません。ことに問題なのはデータの解釈です。・・・いい加減なデータであるか、データを曲解して提示しています。・・・これが抗がん剤のデータ(グラフ)の見方を患者に伝える本を書こうと思った理由です。・・・知識と論理は身を守る、ということの意味がわかっていただければ幸いです」

 近藤氏は、つい最近の5月21日の日刊ゲンダイでも、「乳がんビジネス全開で無謀な薬物療法が行われている」と持論を展開しています。その顕著な例として、昨年、厚労省から承認され、「乳がんガイドライン」(日本乳癌学会)でも華々しく推奨している分子標的治療薬ハーセプチンによる術後補助化学療法について、「患者さんが期待するようなすぐれた効果はまったく認められず、心臓障害などを招く副作用で寿命を縮めることになりかねない」と批判しています。

 そして、そもそも乳がん術後補助化学療法の国際ガイドラインが怪しい代物で、「治療効果の疑わしい薬でも積極的に医師に使わせて、カネ儲けに走る製薬会社“御用達”の医師や研究者などによって作られたお手盛りガイドライン」と厳しく批判しています。

 残念ながら医療も大量生産・大量消費の経済構造から逃れられないようなので、医師の言いなりにならず、本当に効果のある治療法なのかどうか、自分で勉強して判断することが大事です。 

*****

 元国立がんセンターの渡辺亨さんの本です。いやはや、あまりのひどさに驚きました。こんな本を出して恥ずかしくないのか! あちこちに近藤先生のことが出ている。近藤先生にライバル意識を燃やしているのなら、もっとまともな本を書いてほしいです。「恥」の一言です!!
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by lumokurago | 2009-05-28 20:26 | がんと闘わない生き方
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