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暗川  


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安倍裁判訴状(3)

(イ)杉並区教育委員会の違法な採択

  2000年11月、山田宏杉並区長(以下山田区長という)は突然、任期満了の二人の教育委員と教育委員長を更迭した。任期満了の委員は、再任されるのが慣例であり、当然そうなるであろうと思われていた。にもかかわらず更迭したのは、彼らが山田区長の不当な教育への介入に物申していたことと、特に教科書採択に関しては「日常子どもたちと共に過ごしている、現場の教員の意見が尊重されるべきだ」と委員会で述べていたことが大きな原因であったと考えられる。

 教育委員の選任に当たっては、議会の各会派に意向を打診するのが慣例だったが、山田区長は、独断的、恣意的に候補者を決めた。一人目の候補者は佐藤欣子氏(弁護士)である。佐藤氏は松下政経塾で講師を務めたこともあり(区長証言)、産経新聞にも時々私見を書いていた「つくる会」の有力な賛同者の一人である。区民による猛烈な反対運動が展開され、区長は佐藤欣子氏を候補者として議会に提出できなかった。しかし次に区長は「つくる会」の支持者である大蔵雄之助氏と宮坂公夫氏を候補者として議会に提出し、区民の多くの反対を押し切って、また、区議会与党である公明党が採決の際退席する中、議会の同意を取り付け、両氏を教育委員とした。

 2001年の採択のための教育委員会では3対2でかろうじて「つくる会」教科書は採択されなかったが、その後、2003年6月に山田区長は教育長を、元区長室長であり懐刀である納冨善朗氏に入れ替え、区教委は2005年8月に「つくる会」教科書(歴史)を違法に採択した。そして杉並は全国583の採択地区の中で栃木県大田原市と共にたった2ヶ所、「つくる会」教科書を採択した不名誉な場所となった。

  (ウ)山田区長と「つくる会」の関係

 2005年2月21日杉並区セシオンホールで行われたCS放送「日本文化チャンネル桜」(以下「チャンネル桜」という)杉並支部発足記念講演会を、杉並区・杉並区教育委員会が後援し、山田区長自らもパネリストとして参加した。他のパネリストには、「つくる会」の有力なメンバーである渡部昇一氏(上智大学名誉教授)、クライン孝子氏(ノンフィクション作家)などが参加しており、「つくる会」が主張している歴史観を述べ、教科書採択にも言及していた。

 「杉並区(教育委員会)後援等名義使用承認事務取扱要綱」には「事業活動が営利でないこと」となっており、株式会社である「チャンネル桜」の後援を行うことは、上記の要綱に違反している。それにもかかわらず「杉並区・杉並区教育委員会」の後援を強行したことからも、山田区長と「つくる会」が深い関係であることは明らかである。

 ホームページで靖国神社参拝などを呼びかけている「チャンネル桜」の創設提案賛同者は、「つくる会」の代表執筆者である藤岡信勝氏や「つくる会」の賛同者で構成されている。設立発起人には、「つくる会」元副会長であり、扶桑社版教科書(「つくる会」著)の元監修者であった高橋史朗氏(埼玉県教育委員)や杉並区議会議員の松浦芳子氏が名前を連ねている。

 松浦芳子区議は「日本会議」の東京都本部理事であり、「日本会議」の機関誌である「日本の息吹」の中で「杉並から日本を変える。歴史の教科書を変えたいから議員になった」と答えている。松浦芳子区議が議員に立候補した際、山田区長は推薦人として熱心に応援していた。さらに山田区長は「チャンネル桜」で月一回、番組を担当している。

 松浦芳子区議は著書で高橋史朗氏を尊敬すると書いているが、その高橋史朗氏は「すぎなみしあわせ文庫・ココロマメ」の編纂委員として杉並区に関わっている。

  (エ)山田区長の特殊な思想

 山田区長は2004年、2005年の成人式で、新成人を前にして二人の特攻隊員の手記を読みあげ、「あなたたちと同じ年齢の若者が戦争に尊い命をささげた、今の平和で繁栄した日本の礎となった人たちに感謝するように」と訓示した。若者たちは戦前の皇民化教育によって国のために命をささげたのであり、戦後、日本は皇民化教育を否定し、二度と繰り返してはいけないと反省して教育基本法を制定した。そのことを忘れ、新成人に特攻隊に感謝するようにと訓示するとは、戦後日本の反省をないがしろにした、戦前の皇民化教育への復帰に等しい行為である。

 2005年5月22日、山田区長は「『日本海海戦』上映会」で講演した。「『日本海海戦』上映会」は、松浦芳子区議が代表や役員を務めている「はあもにい教育研究会」「杉並の教育を考える会」の主催である。この上映会の講演で山田区長は、日露戦争はロシアの脅威から日本の独立、朝鮮の独立を守るためのやむにやまれない戦争だったと、朝鮮の植民地化を正当化し、日韓併合は日本の安全と満州の権益を防衛するためだったと語った。これは「つくる会」歴史教科書と全く同じ歴史観である。さらに山田区長はここでもアジア・太平洋戦争を戦前使っていた「大東亜戦争」と言い換え、大東亜戦争も自衛戦争だったとくり返した。

  (オ)山田区長の人脈、石原知事との関係・区教委と都教委の関係

 2003年10月23日、都教委は都立学校に向けていわゆる「10.23通達」を出した。その内容は入学式、卒業式等における日の丸の掲揚、君が代の斉唱、式の会場設営等について細部に渡り規定し、教職員を校長の職務命令によって従わせるというものであった。前年までは式の前に、憲法第19条に規定される「思想及び良心の自由」に基づき「内心の自由」について生徒、保護者に説明を行っていたが、その説明も禁止された。この「通達」は明らかに憲法第19条違反である。

 区教委はこの「10.23通達」を受け、区立学校に向けて区独自に同様の内容の通達を出した。このようなことを行ったのは都内で杉並区ともうひとつの区だけである。このことで、都教委と区教委あるいは石原知事と山田区長のつながりが強いものであることが証明されている。

 また、2005年8月の杉並における「つくる会」教科書(歴史)採択にあたっても、区教委は(ア)で述べた都教委のやり方を踏襲し、採択に至る態勢作りをした。(詳細は準備書面で述べる)。

 2006年4月、山田区長は納冨善朗教育長の辞任に伴い、都教委から指導部長だった井出隆安氏を教育長に選任した。井出氏は都教委において扶桑社版(「つくる会」著)教科書に有利になるように恣意的な「学校用教科調査研究資料」を作成し各教育委員会に提示するなど、「つくる会」教科書採択の中心にいた人物である。なぜこのような人物を杉並区の教育長に選任したのか?杉並区に対する都教委の露骨な介入である。

 2004年1月25日、NPO法人「じゃんけんぽん」(法人日本児童文化教育研究所)の発足記念講演会が、都教委、区教委の後援を得て行われた。内容は高橋史朗氏による「家庭崩壊の処方箋『親学講座』」であり、山田区長も挨拶している。他に土屋たかゆき都議が挨拶している。土屋たかゆき都議は2006年6月、「新しい歴史教科書をつくる会」から八木秀次氏が袂を分って設置した、第二「つくる会」とも言うべき「日本教育再生機構」に発起人として参加している。土屋都議には石原知事が「今、国家と言うものを踏まえて政治、社会の現状を捉える人間が少ない中、土屋さんは国家、東京、民族に対する愛着があるからゆえ、危機感をストレートに出し行動している稀有な政治家であり、私は強い友情を感じ、一緒に仕事をしている」ということばを贈っている(土屋都議のHPより)。

 ところで、被告安倍晋三のブレーン「5人組」には八木秀次氏(高崎経済大学)、中西輝政氏(京都大学)が入っている。八木秀次氏は「つくる会」元会長であるが、「つくる会」と袂を分かつ、「日本教育再生機構」の準備室代表を務めている。同機構準備室は(1)伝統文化の継承と世界への発信(2)心を重視する道徳教育の充実(3)男女の違いを尊重し、家族を再興-など五つを基本方針に掲げている。中西輝政氏も最近まで「つくる会」の理事を務め、「日本再生機構」にも代表発起人として名まえを連ねている。同機構はすでに「安倍政権の教育再生政策に期待し、全面的に協力」する立場を表明している。(2006年9月8日付東京新聞)

 以上のように、山田区長は石原知事(都教委)とつながり、「つくる会」とつながり、「つくる会」は自民党幹事長(当時)である被告安倍晋三にと構造的につながっている。杉並区における「つくる会」教科書(歴史)採択は、このような区長-都知事-自民党幹事長-自民党-「つくる会」-区長という円環あるいは交差する構造的なつながりによる政治の不当な介入によって行われた。 

つづく

by lumokurago | 2009-08-06 21:34 | 安倍裁判
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