暗川  


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もしも私が蛇に生まれていたら

 石川逸子さん主宰の通信「ヒロシマ・ナガサキを考える」第95号より転載します。

 2008年11月はじめ、かもがわ出版から井上俊夫『八十六歳の戦争論』という詩集が石川さんに送られてきたそうです。中に編集担当の方の添え書きが入っていたそうです。

 「井上さんは、『私に命がある限り、若い人たちに伝えておかねばならないことが残されている』と永年独力で識った日中戦争の真相と、戦場体験を書き綴りました。『たとえ蟷螂の斧のような書物となろうとも/今考えている本はあくまで書かねばならぬ』と病をおして執筆されてきました。

 しかし、最後の校正を終え、本の謹呈先のリストをシールに印刷して出版社に渡したあと、十月十六日、ついに力尽き、本の完成を見ることなくお亡くなりになりました。井上さんの生前のご依頼により、本日、皆様にできあがったばかりの本をお送りします」

*****

もしも私が蛇に生まれていたら

もしも私が蛇に生まれていたら
或いは私が限りなく青大将に近い人間であったなら
私は決して兵隊などにならなかっただろう
憲兵が徴兵拒否だと私をつかまえにきても
私は身体をくねくねとくねらしながら
草むらのなか深く逃げ込んでしまっただろう。

もしも私が蛇に生まれていたら
或いは私が限りなく青大将に近い人間であったなら
上官からどんなに叱られても殴られても
私は軍事訓練など受けなかっただろう
だって私は軍服を着るのが大嫌いで
「不動の姿勢」をとるのが一番苦手だもの

もしも私が蛇に生まれていたら
或いは私が限りなく青大将に近い人間であったなら
私は決して中国大陸へ向かう輸送船になど乗らなかった
だって私は村の小川で泳ぐのは好きだけど
海を越えてよその国へ押し掛けるなんて
大それた気持には一度としてなったことがないもの。

もしも私が蛇に生まれていたら
或いは私が限りなく青大将に近い人間であったなら
私は中国軍と戦ったり
中国の領土を占領したりしなかっただろう
だって私はそんなことをしてもなんの得にもならないし
わたしには気楽に暮らせる小さな野山があれば十分だもの

もしも私が蛇に生まれていたら
或いは私が限りなく青大将に近い人間であったなら
私は決して中国の兵士や民衆を殺さなかっただろう
だって私は棍棒で殴られて死ぬことはあっても
異国の人を殺すなんてことは私の性分にあわないから。

もしも私が蛇に生まれていたら
或いは私が限りなく青大将に近い人間であったなら
私は中国の女性を犯すなんてことは絶対にしなかった
だって私は愛するメスと草むらで出会った時だけしか
欲情しないんだもの
拒まれると私のペニスはすぐ萎えてしまうのだ。

もしも私が蛇に生まれていたら
或いは私が限りなく青大将に近い人間であったなら
私は決して中国の村落を焼き払ったりしなかっただろう
だって私は野焼きの火すら恐れながら
小心翼翼と暮らしているんだもの。

けれども、けれども
私は蛇に生まれてこなかった
私は大日本帝国の男子としてこの世に生まれてきた
天皇の軍隊の一兵卒となるために生まれてきた
そして私は限りなく青大将に近い人間にもなれなかった
私は甲種合格で軍隊に入って猛訓練を受け
日中戦争に従軍しては
中国人に平気で銃剣を突きつけられる男の一人となった。

日中戦争が終わって早くも六十有余年
でも私は決して忘れはしないだろう
あの時私は断じて蛇ではなかった
また限りなく青大将に近い人間でもなかった
私はまさしく勇敢な帝国陸軍の一兵卒だった
中国人から日本鬼子(リーベンクイズ)と恐れられさげすまれた人間だった。

井上俊夫詩集『八十六歳の戦争論』(かもがわ出版・2008)より
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by lumokurago | 2009-11-01 21:52 | 平和
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