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「少数派」であること

 松下竜一さんは豊前火力発電所の建設に反対し、本人訴訟で裁判を行いましたが負けました。敗訴判決が出たときの垂れ幕「アハハハ・・・負けた負けた」は今でも語り草になっています。しかしその後、彼らの訴えた「環境権」は市民権を得たのです。

 松下さんは「少数派」であることについていろいろな文章を書いています。少し読んでみましょう。

*****以下引用

豊前火力反対―0.001%による持続

 (松下さんらは豊前火力発電所ができてしまってからも、「海を埋める行為は本当に正しかったのか、そしてそこに巨大火力発電所を建設することは正しかったのか」と問い続けている)。

 「つまり、新聞報道でみる限り、豊前火力問題は大分県側では5年前に終わったことなっているのだ。その見方は、当を得ているかもしれない。なにしろ、6万余のこの市で、裁判原告である私と梶原得三郎君を支えて若者が数人同調しているだけ、0.001%の存在でしかないのだから。

 さて、13万円という私たちにとっては大金を投資(!)した新聞折り込みのビラに、どんな反響があったか。まず、第15回公判にビラに誘われてきた傍聴者はゼロであった。少数の傍聴者は、いつもの仲間内であった。『草の根通信』の申し込みもゼロであった。

 だが、それだから投資効果ゼロとは思わない。少なくとも1万人以上の人がビラを読み、何かを心に留めたと信ずるからである。数日前、遠慮がちな声で電話がかかってきた。

 「私、もう10年間もあることで苦しめられている者です。ビラを見て、あなた方になら相談に乗っていただけるのではないかと思いまして・・・」

6年前も今も変わらぬ極小ぶり

 「この一見奇妙な運動の、正体は何なのかということの秘密は、この運動にかかわり続けている一人ひとりを語りつくすことによってしか解けないという気がするのだ。

 奇妙な運動ーーと書いたが、第一に、いったいこの運動には力があるのかないのかということが、どうにもわからないのだ。中津の町における松下一派の極小ぶりは、6年前もいまも少しも改まっていないのである。

 「もう、2年前になります。反原発映画の上映会を当会主催でやりましてね。全市に3万枚のビラを新聞折り込みしたんです。この町で3万枚といえば、全戸ですよ。そのビラを見て参加して来た市民がたった一人いました。その時からもう、集会は諦めています」

 「毎月2千部発行の『草の根通信』も、この町で読んでくれているのは30人もいないでしょう。あと、400部は豊前の組織にまわして、残りは全部遠い各地の読者に郵送です」

 松下センセが自嘲気味にいう孤立ぶりを見ると、「これではもう、とても運動とは呼べんですよ」といった呟きにも、ついうなずきたくなる。実際、松下センセらのやっていることを手厳しく批判する運動者も少なくない。

 だが、それでいて、弁護士なしの大きな裁判を支えてきたのは、梶原さんの借家に毎週ひそひそと集まってくる、これら十指にも満たぬグループだったのであり、そのあるかなきかの存在が、九州電力からもあるいは町の人々からも絶えず気にされ続けているというまぎれもない事実から見れば、やはりこれは何かを撃ち続けている運動なのであろうかと思い迷うのである。

 たとえば、環境権といえば即座に豊前という言葉が連想されるくらいに、豊前火力の裁判が環境権という新権利の概念を世論になじませたという功績は、気弱な松下センセとてさすがに自認しているようである。

 ・・・中略・・・

 「だからね、この運動に集まって来ている者たちは、みんな実は今の社会状況に順応できない者たちなんだよね。--開発はもうおことわりだ、発電所ももうこれ以上つくらせまい。電力が足りないというなら、いまある電力で足りるような生活に戻ればいいんだ、貧しくてもいいじゃないか、もっともっと本当の人間関係で生きられるような社会を考えようと言い続けているのが僕らの運動であってね、そのことを一番痛切に願う者たちが、S君であったり、のりちゃんであったり、得さんであったり、松下センセであったりするのは、これは絶対に偶然じゃないと思うんだな。だからさ、いよいよ石油危機の深刻化する80年代の混沌の中でね、僕はね、この仲間はきっとふえていくという気がするんだな」

 これは79年も暮れようとする師走なかばの学習会の会話なのであったが、突如として松下センセが、「実は、チラッと聞いた子どもニュースなんで、あまり確かじゃないんだけど、今夜の9時から流星群が見られるらしいんだ。いまから、みんなで河口にいかんか」といいだした。

 その夜のメンバー7人(プラス乳児二人)は、たちまち賛成して、ぞろぞろと夜の河口へと出て行った。寒気の厳しい夜であったが、7人のロマンチストはいつまでも冴えた夜空を仰ぎ続けた」。

*****『環境権の過程』松下竜一未刊行著作集4(海鳥社)より

 『乳がん 後悔しない治療』も医療に対して極小少数派の医師と患者の本です。でも「風が吹けば桶屋が儲かる」の論理で、一人の女性の乳房が切られずにすんだ。それだけで満足です。Dr.KもDr.Aもきっと同じ感想だと思います。「少数派」ってこういうことです。

by lumokurago | 2010-07-18 21:09 | 社会(society)
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