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なぜうつ病の人が増えたのか

 『なぜうつ病の人が増えたのか』(冨高辰一郎著・幻冬舎ルネッサンス)を読みました。著者は働く人専門の精神科医。厚労省によれば1999年からの6年間で、病院に通院するうつ病患者数が約2倍に増え、うつ病により休職している人も急増しているということで、欧米諸国の動向や論文を調べ、なぜ急にうつ病が増えたのかを解明し、増えているうつ病にどう対応したらよいか、著者の考えを述べています。

 日本ではそれまで横ばいだったうつ病患者が1999年から急増、それは抗うつ薬の売上、働く人のメンタル休職率と非常に似た形のグラフを表しています。1999年に何があったのか、結論を言ってしまえば、その年はSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害剤)が日本で認可された年だったのです。欧米諸国においても、SSRIが認可されたのが日本より10数年早かったが、認可とほぼ時を同じくしてうつ病患者が増加しています。その背景には製薬会社の積極的な営業活動があったのです。それまで精神科の薬は価格が安く、製薬会社にとって魅力のある分野ではなかったそうですが、SSRIは非常に価格が高かったのです(従来の薬の2~10倍)。

 米国では1,988年にSSRIが導入されました。コロンビア大学精神科のオルソン教授は次のように述べています(P.53)

 製薬会社は医療関係者や一般大衆に向けて精力的なキャンペーンを繰り返した。うつ病が次第に週刊誌の特集になったり、ベストセラーになったり、テレビのトークショウの話題になったりした。企業と研究者の共同研究によって、簡単なうつ病のスクリーニングテストが開発され、簡単で便利なうつ病の早期診断が推奨された。(中略)こういったメディアの影響はアメリカ人の受診行動を変え、うつ病受診者は増加していった。

 現在の日本と同じような状況ですね。「SSRIの売り上げを伸ばすには、うつ病にかかったら病院に行くという意識を社会に根付かせることが必要となる。そして医療機関を受診してもらうには、何はともあれ、まず本人が病気に気づくことが必要なのである。そのためには『病気の啓発活動』を行う必要がある。(中略)『病気の啓発活動』とは、マスメディアやインターネット、学会活動、講演会といった手段を通じて、人々の病気への意識を変えていくことである」(P.69)

 その結果、欧米では「disease mongerring」(日本語では訳語が統一されていないが、「病気の押し売り」「病気作り」と訳されることが多い)が深刻な社会問題となり国際学会すら開かれるようになっているとのことです。「disease mongerring」とは製薬会社が豊富な資金を背景に、病気の啓発活動を過剰に行うことによって、必要以上に薬の売り上げを伸ばしているという批判で、代表的な疾患として、小児の躁うつ病、男性型脱毛、性機能障害、ADHD(注意欠陥多動性障害)、軽い高コレステロール血症等があるそうです。(私もADHDの子どもにリタリンという覚せい剤と同じ成分の薬を長期にわたって飲ませることがどうなのか非常に疑問に思っていた)。

 米国ではここ10年間で未成年の躁うつ病患者が40倍に増加、その背景には「病気の押し売り」があったのではないかと製薬会社が批判されているそうです。なぜならば、躁うつ病治療に使われてきたリチウムという薬は非常に安く、製薬会社もリチウムのプロモーションにはほとんど力を入れていなかったが、90年代になると米国では非常に薬価が高い抗てんかん薬などがそううつ病治療薬として承認されていき、製薬会社は一斉に躁うつ病のキャンペーンに乗り出したということなのです。

 2008年には複数の向精神薬等が慢性的に投与されていた4歳児が死亡、主治医の精神科医は医師資格の停止措置を受け、両親も子どもを早く寝付かせようとむやみに薬を追加投与したとして刑事告訴されたそうです。その上、この子の二人の兄弟もやはり小児躁うつ病の診断で同じような薬物治療を受けていたそうです。小児躁うつ病の啓発運動を積極的に推進してきたハーバード大学の有名教授らが、複数の製薬会社から数百万ドルものコンサルタント料を受け取っていたことも判明、現在米国では製薬会社が行う病気の啓発活動に対して、社会がこの強大な力にどう対応すればよいのかが問題となっているとのことです。

つづく
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by lumokurago | 2010-08-13 14:52 | 本(book)
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