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「日本一よくない」アセスメント方法書

「日本一よくない」アセスメント方法書:石垣新空港裁判第3回口頭弁論

 代理人は、日本アセスメント学会の会長も務めた島津康男氏が、新石垣空港の環境影響方法書を「日本一よくない方法書」とし、根本的な欠陥があり、形骸化していると批判していることなどを指摘しました。

 3月16日(金)10時30分から、東京地裁606号法廷で、「石垣新空港訴訟」第3回口頭弁論が開かれました。「杉並の教科書」裁判と同じ大門裁判長なので、教科書裁判の仲間と一緒に傍聴に行きました。(筆者は両方の裁判の原告です)。

 大門裁判長はいつも通り「時間を長くやるのは本意ではない」とし、「原告適格と空港設置の違法性について、できるだけ要約し、5分程度で陳述するように」と述べてから「若干長くなってもよい」としました。

非土地所有者にも原告適格がある

 原告側の代理人が立ち上がって、まず原告適格について述べました。

 原告適格というのは原告として訴訟を提起できる資格のことで、行政事件訴訟法では「法律上の利益を有する」としています。原告適格がないとみなされると、裁判の内容に入らずに却下されてしまいます。

 被告は「原告適格を土地所有者(第一原告)に限り、非所有者(第二原告)は適格がない」と主張しています。つまり環境影響評価法(環境アセスメント法)の目的である「現在及び将来の国民の健康で文化的な生活の確保に資すること」は一般的なもので、一人ひとりに適格があるということではない、と言うのです。

 原告代理人は、その見解はかつての判例に基づくもので、2005年に行政事件訴訟法が改正され、原告適格が拡大されたことを指摘しました。そして、自然と触れ合うことによって人間は有形無形の利益を受けるものであり、自然環境保全の視点から意見を持つ人にも適格があることを主張しました。

 また、第一原告(土地所有者)は土地(自然)を第二原告(非土地所有者)のために提供している面もあるのであり、第二原告は受益者であること、第二原告の中にはこの問題に20~30年もの長い間関わり、アセスに深い意見を述べてきた人もいること、空港予定地の近くに住む原告は珊瑚礁に依存した生活を送ってきたのであり、第二原告にも原告適格があるのだと主張しました。

「日本一よくない方法書」

 次に別の代理人が立ち上がり、アセスメントの手続に関する違法性について述べました。代理人はまず、日本アセスメント学会の会長も務めた島津康男氏が新石垣空港の環境影響方法書を「日本一よくない方法書」とし、根本的な欠陥があり、形骸化していると批判していることを指摘しました。そして方法書について以下の欠陥、疑問があるため環境影響評価法に違反すると述べました。

1.
 空港計画の基本である使用機種・運行計画・離着陸ルートが記載されておらず、例えば騒音をどこで予測したらいいかがわからない。

2.
 恣意的に基本計画が確定していない段階で方法書を出したのではないか。つまり、方法書に対する意見を聴取しても、それは基本計画確定前のもので、基本計画に対応した意見ではないとして退ける意図をもって方法書を作成したのではないか。

3. 
 方法書に進入灯及び航空障害灯の記載がなかったが、これは航空障害灯の設置場所近くに絶滅危惧種のカンムリワシの営巣があることが発覚することを恐れていたのではないか。

4.
 方法書に基づいて行われるべき調査が実質的には先行的に行われており、方法書はアセスの計画書というよりも環境調査書になっている。このことは沖縄県環境影響評価審議会でも指摘されている。

環境保全の考えが乏しい被告

 次に代理人は、準備書におけるコウモリ類のデータに改ざんがあることを指摘、被告は「改ざん」ではなく「誤記」であると主張するが、もとになるデータが大幅に変わることはあってはならないことであり、準備書の科学的信用性を根底から揺るがすものだと主張しました。

 ここで大門裁判長が「あまり細かいところまではちょっと‥‥」と代理人を制したので、代理人は、沖縄県が実施した「平成14年度新石垣空港コウモリ類調査業務(その2)報告書」は、準備書とは全く正反対に、小型コウモリ類への影響について「新空港の建設は、石垣島の南東部のコロニーだけでなくほかのコロニーへも大きな影響を与える可能性があることが示唆されるため、建設の決定は、注意して行うべき」としていることを指摘して、この部分の説明を終えました。

 次に代理人は、代替案の検討は義務ではないと被告は主張するが、当初の空港予定地であった白保海上案が白紙撤回され、次に出たカラ岳東案も白紙撤回された後に出された新空港予定地が最初に撤回された白保海域からわずか20mであることを述べ、被告には環境を保全しようという考えが乏しいと主張しました。

 また、「新石垣空港建設位置選定委員会」は全会一致が原則とされているのに、多数決で押し切り、自然環境に配慮すべきという意見を押しつぶしたことを指摘し、陳述を終えました。

 裁判長は「陳述が長めになりましたが、多岐に渡っているのでよしとしましょう」とし、被告に「何かありますか」と聞きました。被告は「特にありません」と答えました。裁判長が原告に「違法性が3つ出ているが次回は中味補充の位置づけでよろしいか」と聞くと、原告は「今回はアセス法違反の手続き的なところについてやったので、実態的な違法性について次回に行う」と答えました。

 裁判長は「全体像を出していただくと理解しやすい」とし、「全体的に出していただいて、やれるところはこの部分はこうとやっていただく。証拠説明書が出ていないので出していただきたい」としました。被告については個別にではなくできればまとめてやりたいとのことで、次回期日を決めて閉廷しました。

報告会の様子と筆者の感想

 弁論後の報告会では、事務局長より「前回は5分の陳述で文句を言われたが、今回は15分しゃべった、できるだけ裁判所の中だけでわかる傍聴人にわかりやすい裁判をめざしていきたい」という話がありました。

 それから代理人より、よりくだけた言葉で原告適格と違法性の説明がありました。自然物原告であるアオサンゴとヤエヤマコキクガシラコウモリについては次回に補強するとのことでした。

 付け加えると、結局、沖縄県は予定地内に生息・生育する30数種の希少な動植物への影響の回避及び低減は困難とし、安直にそれらを近隣の適地や創設するビオトープに移植・移動する環境保全措置を評価書に記載したが、それらの環境保全措置の効果はなんら検証されておらず、これほどまで多くの動植物を移植・移動しなければならないこと自体、本予定地での空港建設の不当性を表しているとしています。

 事務局長より「仲井真知事が土地の強制収用に入ると言っており、任意買収に入ってまだたった11ヶ月なのに拙速にすぎる、静岡空港でも強制収用は5年以上経ってから始められた、抗議していこう」との呼びかけがありました。なお、静岡空港設置反対運動では2月に抗議の焼身自殺があったそうです。

 傍聴者の中から「昔から地球で生きているものたちを守ってきた自然を一時の我欲でぶちこわしていいのか。自然は一度壊したら二度と取り返せない。未来に受け継ぐべき自然を今生きている人間が壊していいのか。どうして人間はもっと賢くなれないのか。こうしている間も飛行場ができてしまう」と切々と語られた方がおり、同じ思いでいるみんなはシーンと静まり返ってしまいました。

 なんとか止めることはできないのかとの質問に、「差し止め訴訟はむずかしい」「権力のやることを個人が止めることは厳しい」「白保現地で実力行動をするのもむずかしい」という話に、わかっていることながら、無力感を覚えてしまいました。同じようなことが日本全国でいくつもいくつも起きていますが、せめて筆者としては、こうして裁判の報告をし、一人でも多くの方にこの問題を知っていただきたいと思うばかりです。

 大門裁判長はこの裁判で5分の陳述時間(実際には15分)を取りましたが、これも弁護士が事前にお願いしたから許されたそうです。弁護士なしで行っている杉並の教科書裁判(関連記事「市民と裁判長の丁々発止」)では、いくら準備書面で「時間をとってほしい」旨述べても、事前には時間を取ると言ってくれませんでした。やはり弁護士なしだから? 15通に及ぶ膨大な準備書面に対し、たった5分しか時間を取ってくれなかったことを思うと、「ずるい」と言いたい気分です。

 それにしても「わかりやすい裁判を」と事務局長らが弁護士にお願いしなければ、この裁判も「陳述しますか」「はい」で進められていくのだと思うと、日本の裁判が主権者の手から離れて久しいのだ、これから取り返していくためには大変な道のりが必要なのだと改めて実感しました。

 でもこれが第一歩ですから、あきらめないでいきましょう。事務局長は「これからの報告会には白保のこれまでの反対運動を扱ったビデオなども用意し、せっかく傍聴に来てくれた人たちにとって有意義な時間となるよう工夫したい」とも話していました。


次回の口頭弁論期日
 5月21日(月)10:30~
 東京地裁6階606号法廷

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1990年の白保の船着場
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2006年7月の同じ場所
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by lumokurago | 2007-03-25 11:27 | その他裁判関係
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