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『しろうとがん入門』  つけたしあり

 『しろうとがん入門』という本を企画し、準備しています。近藤誠医師の本はむずかしい、『乳がん 後悔しない治療』もむずかしいという人がいましたので、もっとわかりやすくとこころがけました。インタビュー形式になっていますが、すべて創作です。
 
 どうでしょうか。ここがまだわからない、もっと詳しく、など忌憚のないご意見をお寄せ下さい。lumokurago@ybb.ne.jp

 ご意見をいただき、最後に肺がん検診の新たな知見をつけたしました。

どうして近藤理論が正しいと思ったの?

黒木:渡辺さんは近藤先生の理論が正しいと思って、乳がんを6年間も放置したと『乳がん後悔しない治療』に書いているけど、どうして正しいと思ったの?

渡辺:それは近藤先生の本とほかの医者の本を読み比べて。1994年に最初に読んだのは『乳ガン治療・あなたの選択』だけど、胸の筋肉まで切り取ってしまうハルステッド手術と乳房温存療法の成績(生存率)が同じだということがデータを示して書いてあった。ほかの医者の本には何の根拠も示さず、「無理な温存療法が増えている結果、再発して亡くなる患者さんが増えています」などと書いてあった。忘れもしない都立駒込病院外科部長(当時)の富永健という医者。温存療法が当たり前になったいま読んだら恥ずかしいだろうね。つまりほかの医者は根拠のない主観的な意見を書いていた。この人が初代乳がん学会会長になったんだよ。当時の日本の乳がん治療の水準がわかるでしょう。

 それに対して近藤先生の本にはもとになるデータがたくさん載っていたし、近藤先生のデータの読み方は正しいと思った。私は、医学はもちろん統計も数学も素人だけど、彼のデータの読み方はスーッと頭に入ってくる。無作為対照比較試験(RCT)(注―あとで書きます)の結果にはさまざまなバイアス(偏り)(注)があるが、それも素人がわかるように解説していて、説得力がある。近藤先生のほかに最近、新潟大学予防医学教授の岡田正彦さんが『がん検診の大罪』で統計データの読み方を解説している。それに対してほとんどの医者の本はデータを示さずに自分の主観的意見を述べているだけ。

黒木:でも「統計」とか「データ」って聞いただけでむずかしそう。私にわかるかな? 

渡辺:大丈夫。二人ともとてもわかりやすく解説しているので読んでみて。私が近藤先生の何を信頼しているかというと、基本的には彼のデータの読み方なんだよね。だからパミドロネート(骨転移に使われるビスホスホネート剤の一種)の説明でグラフが急に曲がるのはデータを捏造しているからだと言われると、その意味はわからないんだけど、近藤先生の読み方だから信頼できる(『乳がん後悔しない治療』133頁)。

 近藤先生は著作で「ぼくの言うことも疑ってもらわなければ困る」みたいなことを書いているけど、それは彼が「この薬は効く」と言って積極的に勧めた場合のこと。その場合は製薬会社から研究費をもらっている可能性があるけど、「効かない」と言っている限り信じられる。効かないと言っても何の得もないからね。

近藤理論を一言でいえば

黒木:つぎに渡辺さんが正しいと思った近藤理論を簡単に説明して下さい。

渡辺:一言でいえば、がんというのはできたときに性質が2つに分かれていて、転移する性質のものはすぐに転移するけれど、転移しない性質のものはいつまでたっても転移しないということ。後者に「がんもどき」という名前をつけた。「がんもどき」は転移しないから、発見してもあわてて切り取る必要はまったくなく、というよりも、切り取れば後遺症がでるので切らないほうがいい。もしなにか症状がでたらそのとき対処すればいい。一方、転移する性質のがんはがんができてすぐに転移しているから、早期発見して切り取っても転移を防ぐことはできない。つまりがんはごく初期に運命が決まっているから治療してもしなくても生死に影響はない。

黒木:ほんもののがんかがんもどきかはいつわかるの?

渡辺:転移がみつかればほんものがんだったということで、5年経っても転移がみつからなかったときはがんもどきだったということになる(乳がんは別で30年経っても転移がでてくることがある)。はじめてがんが発見されたときに、検査で転移がみつからなければ、そのがんは将来転移がでてくるほんもののがんなのかがんもどきなのか、その時点ではわからない。

黒木:早期発見理論だと早期に発見して治療すれば、ほんもののがんの転移を防ぐことができるということだよね。近藤理論ではそれを否定している。その根拠はなんなの?

渡辺:それはちょっとややこしくなるけど、肺がん検診のRCTの結果から。症状のなにもない人をくじ引きで2群に分けて、片方は肺がん検診を繰り返し、肺がんが発見されたら手術する、もう片方は検診をせず、症状がでたときに調べて肺がんなら治療する。肺がんの発見数はもちろん検診群のほうが多く、たくさん治療したのに、肺がん死亡数を比べたら、検診群のほうが死亡数が多かった。検診群では早期の肺がんを発見して治療したんだから、その治療が転移を防いだとすれば肺がん死亡数は減るはずでしょ。それなのにそうならなかったのはなぜだと思う? 

黒木:うーん、わからない。

渡辺:その治療は転移を防ぐことはできなかったからだよ。だれにでもわかる簡単な理屈でしょ。

黒木:なるほど、たしかに、そうかも。目からうろこ。

【つけたしました】

渡辺:検診推進派はCTを使った肺がん検診なら効果がでるだろうとくじびき試験(RCT)を始めたけど、2009年に中間報告がひとつでて、CTによって発見される肺がんの数は増えるけれど肺がん死亡数は非検診群と同じだったそうよ。たくさん発見して治療したけれど、死亡数が減らないということは、やっぱり転移しないがんもどきだったんだね。昨年はヘリカルCTを使った検診も意味がないという論文が発表されたんだって。

 近藤先生が昨年の文藝春秋11月号に「CT検査でがんになる」という論文を書いた。「CTの被ばく線量はX線撮影の200倍以上、世界の三分の一のCT装置が日本に集中している」というのがリード文。話は飛ぶけど、昨年、母を自宅に引き取ったとき、在宅医を探したんだけど、ヘリカルCTがドーンとあって、その宣伝ポスターを貼っている医院はご遠慮申し上げたんだ。そんなに高い機械を買ったら、患者を検査漬けにしなくちゃ元が取れない。患者をがんにしたいのかね。

 余談になるけど、日本ではさっき説明した肺がん検診は意味がないというRCTの結果がでたあとに、肺がん検診を制度化したんだよ。それは結核検診に携わっていた医療関係者を救うためだったと言われています。 

つづく。
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by lumokurago | 2011-01-20 18:41 | がんと闘わない生き方
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