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宮崎勤君の事件をめぐって その1

 暗川28号(1990.3.20)より転載します。

*****

 宮崎君が幼女誘拐殺害事件の容疑者として逮捕されてから半年が過ぎ、めまぐるしく目先の物事に振り回される私たちは、。もうすでにそれを忘れ去ろうとしている。しかしそんな中で、文通している中学2年生の女の子が、次のような手紙をくれた。私は中学2年生がこんなに一生懸命考えていることに励まされ、私が宮崎君について書いた文章が載っている径通信を送った。それに対する彼女の感想と、9月に友人のOさんがくれた手紙を読んでほしい。(径通信を同封します)。

 (注:このころ、私は径書房刊『ロックよ静かに流れよ』に手紙をくれたおおぜいの子どもたち&少数の大人たちと文通していた)。

 C.Yさん(中学2年)より 
 
 前略・・・。今の若い人は人を殺すことなんて、なんとも思っていないとか言うんです。確かに若い人は今、たくさんの人が罪をおかしているけど、なんとも思ってないわけないんです。ちゃんと自分自身でキズついているんですよね。それなのにマヒしてるとか勝手に言って・・・。

 あの宮崎さんだって人を殺したことに対して、一番キズついてると思うんです。なのにマヒしてる!!って。異常だ!!って。それって一人の人間としても人権が守られていないって思うんです。この大人の言葉を、しっかり子どもは聞いてるんです。今の若者の動きは大人の言ってることの生き写しなんです。

 渡辺さんみたいに子どものことをわかってくれてる人から、わかってくれてない人までさまざまいるけど、だれがどっちだ!!なんてキメつけられません。だから大人みんなに問いかけてみたいんです。そこで、どれだけの人が心をひらいて聞いてくれるか・・・。もちろん子どもにも・・・。どうして大人と子どもはそれぞれに壁を作ってしまって、お互い心を開きあわないのか・・・。

 私の考えはちがってるかもしれないけど、私はこう思うんです。勝手なことばかり書いてスイマセン。けど、自分の気持ちぶつけて、ちゃんと言えたことだけでもうれしいです。  1990.1.15

 ★ この手紙をもらったので、径通信を彼女に送りました。

 2通目

 径通信、読ませていただきました。私もほんとに渡辺さんの言ってることと同じです。宮崎さんに対するマスコミの人たちの「異常者」あつかいはやめてほしい。それにこの事件が起こった時は騒ぐだけ騒いでおいて、しずまるともう知らんぷり。次の事件を追いかけて、また事件が起きると騒ぎ立てる。もう見てる方がうんざりしてきます。

 宮崎さんの事件の時、もし私が宮崎さんの身近にいる人物だとしたら、何かしてやりたいって、やれないのに思ってしまう。なぜやれないかというと、やっぱり世間の目でしょうね。そうゆうゆうに世間の目を気にして、何かをやるとか、言うとか、するとか、そういう時の自分の態度がいちばんきらいです。結局は世間を気にしてやらなきゃ自分は駄目なんだって思っているみたいで・・・。言ってることと行動とが全然違ってるんですよね。(後略)  1990.1.27

 3通目

 前略・・・。話は変わりますが、この前部活が終わった後、部室で着替えをしていたら、あるSさんが宮崎さんの話をもち出してきました。するとみんなが「きもちわるいからやめて!!」とか「異常者のはなしげなせんで!!」とか、他いろいろあの事件のことを話してました。私はそんなこと言うのイヤだから部室から出ていったんですね。すると別の人が私の所にきたんです。そして「ほんと宮崎って最悪やと思わん?」って言ってきたので、私が「そんなこと言うもんじゃないよ」って言ったんだけど、相手には通じなくて・・・それでその子と交換日記やってるから、日記に書きました。

 --なぜ私が宮崎さんのこと言ってる人に対しておこったかというと、やっぱり同じ人間なんだし、そりゃあ何人もの子どもを殺し、ほんとに深いあやまちをおかしてしまったと思う。しかし、それを騒ぎ立てるだけたてて、異常者扱い、そして最後には「人間ではない」とまで言ったそのマスコミの状態が今の子どもたちにとって良い影響をあたえるのか?

 この事件をマスコミがほんとに心配しているなら、異常者扱いにはしなかったはずだ。大人が生み出してしまった事件を、ビデオ貸し出し禁止だけですませてしまってもいいのだろうか? それより人を殺すという罪をきちんと子どもにおしえていかなければならないと思う。大人や子供たちが彼を異常者使いする以上、今の子どもたちの発育?!に悪い影響をあたえるのではないだろうか? この大人たちの行動を見た子どもたちは、どこかの場面で人を異常者扱いするのではないだろうか?

 それにこれは宮崎さん一人の問題ではないはずだ。今現在、子どもたちは荒れてしまっている。これは大人(一部)の行動の生き写しではないだろうか?今の子どもたちが宮崎さんのことを言っている時、子どもの状態はどうだろうか? 言葉づかい、暴力、etc・・・そんなものにかわっていないだろうか? だからこのような事件を二度と起こさないために口だけでなく、きちんと子どもに教えていくべきではないだろうか?

 言葉だけで切り捨てている人はずるいと思う。その場その場で、なにもかもかたづけてしまう。それが今の子どもに反映してきたと私は思わずにはいられません。そりゃあ今と昔じゃ価値観も文化もなにもかもかわってきている。しかし、人間の心はかわってはいけないと思う。

 現在、戦争もなく、人の殺し方など、学校ではならわない。しかしTVで人を殺している。だから子どもは人の殺し方を大人より詳しく知っている。そして人間たちは二度と戦争はおこさないと言いながら、しっかり子どもに殺し方を教えている。

 これってむじゅんしていると思いませんか? それプラスじゅくだのなんだの、偏差値、成績、習い事で子どもをしばりつけて、それでうちの子はマジメだといばりくさっている。

 話の内容はずいぶんずれたけど、とにかく私は宮崎さんを一人の人間として見ている。一人の人間として見なければならない。人それぞれ言い分があるかもしれないが、私はそう思うよ。

 中略・・・(交換日記の相手の子の意見を引用して、Cさんは二人の意見は全然違うと言っている)。

 他、いろんな人にこのことについて語りかけてみたりした。けど、みんな、そんなこと考えてもなかった!って言ってた。なんかそーゆーのって悲しいと思いませんか? それとか、その話、もう古いやん、とか、もう終わったことやし、別にどーでもいいんじゃないの? って言葉が返ってきたんですよね。私としてはすごいショックでしたね!

 私はどうにかしてこんな事件がおこらないため、なにか方法はないものか? って考えているのに、ほかの人たちはそんなことも考えずに、一日一日が過ぎてゆくのを、ただまってるだけ・・・それでこの先、よい時代が来るのでしょうか? それとも私の考えすぎでしょうか?

 このごろ進路について、話が少しずつでてきています。「将来の夢」とかさくぶんに書かされています。私は学校の先生ってゆーのが昔からの夢だったんですけど、やっぱりはっきり決めれないので、作文には「いろいろな人びとに出会いたい。そして自分の存在を確かめて、自分を必要としてくれる人たちを見つけたい。そして人のためになるようなことをしたい」と書きました。自分の将来がどうなるかはわかりませんが、やっぱり先生になって子どもたちとのステキな出会いをしたいなって思っています。

 ほんとに私にこんだけ考えさせることを提供してくださってありがとうございました。  1990.2.9

*****

 この手紙はいまから21年前のものです。しっかりしてますね。Cさんのいうとおり、人間が人間を「一人の人間」として尊重できる社会になれば、一人ひとりの人間が自分を認めることができれば、小さな子どもを殺すような事件はなくなるはずです。それなのに、また同じような事件が起こってしまいました。犯人になってしまった青年は自分を自分として認められないから事件を起こしてしまったと思います。それは彼が「異常者」だからではないのです。人間は社会的な存在なのですから。 

by lumokurago | 2011-03-06 20:15 | 昔のミニコミ誌より
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