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『死ぬ気まんまん』 佐野洋子

 堅い本ばかり読んでいたので、合間に佐野洋子を読んだ。ちょっと! 困るなあ、こんなに有名な人がこんな無責任な本書いちゃあ!

 困る記述を抜き書きする。はじめはエッセー「死ぬ気まんまん」から。

 「ガンが再発して骨に転移した時、お医者は、死ぬまでに治療費と終末介護代含めて1千万円くらいだろうと言ってくれた」 おいおい、これは抗がん剤(猛烈に高い)やビスホスホネート(骨転移に効くとされているこれも高価な薬ーDr.Kは効かないと言っている)で積極的に治療するからであって、対症療法(ホルモン剤とたまに放射線)ならこんなにかかりませんよ。桁が違うんじゃないの! 人びとを脅さないでほしいなあ。

 「根が貧乏性の私は物欲がない」のに、イングリッシュグリーンのジャガーを買って「私の最後の物欲だった」だってさ。 すごい金持ちだなあ。なにが「物欲がない」だ。ちゃんとあるじゃないの。ウソつかないでほしい。「貧乏だった」「貧乏だった」って書いてあるけど、戦争中~戦後すぐのことでしょう。自分が金持ちだってこと、自覚すべきだよな。東京に家2軒、軽井沢に別荘、車も持ってるんですよ。

 「毎週点滴をしにゆく。よくわからないが、免疫力を強める薬と、骨を強化する薬を点滴するが、痛くもかゆくもなく、気分が悪くなることもない」 自分が点滴されている薬を「よくわからない」では困るのだ。勉強してくださいよ。って、もう死んじゃったから遅いけど、医者がちゃんと説明すべきなのだ。

 「医学の進歩は、朝と夕方では違うほどらしい。骨に転移しているので、骨のための点滴と、なんのためだかわからないハーセプチンという薬を点滴してもらうために、週1度、病院に行く。・・・略・・・先日、先生が何か注射してくれたら、頭が1日でツルッパゲになってしまった」 「医学の進歩は、朝と夕方では違うほどらしい」=大ウソである。がんは40年前から治るようになどなっていないのだ。作家ともあろう人がいい加減なことを書くな。「ハーセプチン」は抗がん剤の一種である。前のほうに「抗がん剤はやらない」と書いていたので医者にだまされていたのだろう。何の薬か聞かないからこういうことになる。ツルッパゲになる薬の名前も聞くべきだった。はげるのは抗がん剤である。また、だまされている。

 「医者がまたなんだかわからないツルッパゲになった薬をもう1回打つ時、私は「何のための薬ですか」ときいたら、「そうだね、佐野さんは延命しないでいいって言ってたね。僕は佐野さんはもっと生きていて欲しい」  このあとが省略しすぎでちょっと意味が通じない。こうつづく。「私はポーっといい気持ちになった。息子と同じくらいの若いいい男がこんなこと言ってくれる。一瞬この医者のために長生きしようかと思った。「わかりました。止めましょう」 よーし、この医者のためにも立派に死んでやろう。しかし立派な死に方がどういうものなのか今もわからない。 医者はこの薬を打つのを止めたのだろうか? 薬のなまえがわからないだけでなく、文章が説明不足だと思うのは私だけ?

 次は平井達夫氏(築地神経科クリニック理事長)との対談から、同じく困るセリフを抜きだす。

 平井:早期発見して取れば治るという時期を逸すると、ものすごい労力と、ものすごいお金と、ものすごい精神的苦痛を味わうことになります。だから、早く発見して、早く手を打たないと、ガンは治らないのです。 どうしてここまで人びとを脅すのか? 無治療では自分の仕事がなくなるからであろう。それともただの無知?

 平井:ガンは早期発見の治療しか完治できません。いま日本で一番すごい検診は、国立がんセンター中央病院、検診センターでやっていますよ。20万円ですけど、それぞれの分野の癌専門医がついて上から下まで全部ガンの検診。 金儲け、金儲け! 金儲けをして人びとを脅す最低の医者たち。

 平井:ガンはだいたい1期、2期、3期、4期と分かれます。1期は小さいのが臓器の中にあるんですが、精密な検診とかでわかって、取れば治ります。2期は2、3センチのものが見つかりますが、これも臓器の中にあるんです。医者も、治せるかもしれないと張り切るわけですよ。 1期でも100%治る(がんもどきである)というわけではない。小さくても転移しているがんもあることを知らないのかな? 

 平井:脳卒中も予防が大切で脳ドックは絶対に受けたほうがいい。 脳ドックを受ければ40歳以上の人には小さな脳梗塞が必ず見つかる。脳ドックで見つかった小さな梗塞を手術したおかげで、なんでもなかったのに障害者になってしまった人を知っている。

 佐野:ええ、父も家で死んだものですから家の中で死人を見ていますが、父の死に方が立派でした。
 平井:最高学府出のエリートですからね。
 死ぬにあたって最高学府出もなにもないだろう! こんなことを言う人、信頼できないね。

 最後にエッセイ「知らなかった」について。

 ここで佐野さんは「私は、病院に行く気はもうなかった。薬は怖かった。どんな医者も信用していなかった」と何度も何度も書いている。しかし、薬が怖くなったのはなぜなのか。医者を信用しなくなったのはなぜなのかは一言も書いていない。読者はそれを一番知りたいのではないだろうか。

 そしていろいろなところが痛くてたまらないのに、自分はどこも悪くないと書いている。この痛みは骨転移からくる神経の痛みだと思う。「あばら骨がメリメリ音をたてて粉になるかと思うほどで息もつけなくなった」と書いてあるのが、少し大げさだがいまの私と同じだからだ。ほんものの上手な緩和ケア医のところに行けばよかったのに、それまでに医者を信じられなくなっていたのである。なんと気の毒なのだろうか。

 知り合いの編集者が佐野さんの息子さんをよく知っている。佐野さんはやはり一癖も二癖もあるむずかしい人らしいが、とにかくおおざっぱでがんの勉強なんかするわけないと言う。でもね、死んだ人にこんなことを言うのは申し訳ないけれど、自分の体は自分で守らなければ。そのためには勉強するしかないのだ。医者は信用できないのだから。

 佐野さんの本は売れるだろうなあ。第一『死ぬ気まんまん』というタイトルがひきつける。この人ががんのことを勉強して、よくわかって書いてくれていればなあ。影響力、絶大だったのに、残念だ。少数派はやっぱりここでも少数派で、売れない本を書くしかないんだなあ。

 ま、それが少数派の運命だから、仕方ないか。 

by lumokurago | 2011-12-15 13:14 | 本(book)
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