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「壊れた脳 生存する知」 山田規畝子・講談社

 若くして4回の脳卒中(脳出血と脳梗塞の総称)に襲われた整形外科医が書いた本。

 山田さんは34歳の時の脳出血と脳梗塞の後遺症で「高次脳機能障害」を起こし、靴のつま先とかかとを逆に履こうとしたり、食事中、持っていた皿をスープ皿の中に置いてしまったり、和式の便器に足をつっこんだり・・・という失敗をするようになった。初めは自分でもなぜそんな失敗をするのかわからなかったが、自分の「障害」を研究し、本を読んで勉強して、「高次脳機能障害」のプロになり、リハビリ医として復帰する。
 
 「高次脳機能障害」の症状の中には父の認知症の症状に通じるものがいくつもあり、「ああ、そういうことだったのか」と納得できるところが多かった。その中から代表的なものを拾ってみる。

 空間性認知障害
 
 視覚失認・・・視覚的には確かにものは見えているのに、脳が目で見たものを正しく理解できない状態。ものの形が何を意味するのかを理解したり、遠近感をつかむjことができない。例としては、きれいなタイル張りの舗道に立った時、それが模様なのか、穴なのか、でっぱりなのかわからず、どこに足を置くべきかわからない。階段が上りなのか下りなのかわからない。机の上にブワーッと広がっているもののひとつひとつを見分けることがむずかしい。色や形がはっきり区別されて目に入ってこず、ひとかたまりの色やトーンのパターンとして見える。

 自己身体の認知障害・・・まっすぐな体が曲がっているように思われたり、右手と左手の区別が困難である。また、衣服を着ることが困難になってしまう。

 記憶障害

 短期記憶ができない。数分前のことが覚えられない。ものをなくす。単純な数が覚えられない。人の顔を忘れる。

 その結果として興味深かったのは、本を読んでいて次の行がわからないということ。新聞はレイアウト上の約束事がわからず、次の文頭をみつけることができず、探しているうちに前の内容を忘れてしまうということで、想像もできない苦労があることがわかった。
 
 その他、父と似ていて興味深かったのは・・・

 地誌的感覚はあるが、方向感覚がない。迷子にはならないが、部屋の中でドアの位置がわからなくなる。

 うまく飲み込めない。「嚥下」は脳にプログラムされている反射にまかされているが、脳が故障するとこのプログラムが機能しなくなる。

 などなど・・・。

 山田さんはいろいろな失敗を重ねながら、失敗する自分を理性的に見つめ原因を分析し、対策を考える「もうひとりの自分」を「前子ちゃん(前頭葉からとった名前)」と名づけ、障害を乗り越えていく。「前子ちゃん」の考える力、工夫する力、問題解決のための機転はすばらしい。
 それにしても、「脳」はなんと複雑でよくできているのか驚かされる。また人間は脳を1割ほども使わずに生きているそうだ。今まで使っていた部分が壊れても、使っていなかった部分を活性化させることができるのだ。

 

by lumokurago | 2005-06-21 20:42 | 本(book)
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