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これでも医者なの?

1月26日の朝日新聞「私の視点」に国立がんセンター中央病院内視鏡部医長・金子昌弘氏による「がん検診 予防の観点も盛り込め」という投稿が載っていた。がん検診が有効であることを無言の前提に、受診者数が一番多い肺がん検診にしても、受診率は24%弱で横ばい状態であることを「深刻に受け止め」、受診者を増やすためには、「検診に予防効果があると感じられる仕組み」をつくり上げることを提言している。

あまりにひどい投稿なので、間違いを指摘する。

1.肺がん検診は無効である。
 「肺がん検診(胸部レントゲン写真・喀痰細胞診)はアメリカでおこなわれた3つの無作為臨床試験の結果、無効だと結論づけられています。・・・肺がんは禁煙により明確に肺がん死亡数が減少することと、膨大な費用をかけて検診を実施しても死亡数が減少しないことを受け、世界のあらゆる機関は肺がん検診を否定しています。それに反して、日本ではいまだに法律(老健法)に定められ施行されている現状は、結核検診廃止後の失業対策との批判を浴びても仕方ないでしょう(注:近藤誠氏の著作にある批判)。このため、厚生省、日本の専門家はメンツを捨て、肺がん検診を行政として中止する必要があると考えます」 (『患者のためのがん治療事情』川端英孝・上野貴史著・三省堂)

2.文中に「予防注射をすれば、インフルエンザにかからないと思う人は多い。がん検診にも予防効果があると感じられる仕組みになれば、受診者は増えるのではないか」という箇所がある。
まず、インフルエンザの予防注射は、このひどい日本の厚労省でさえが「すすめられない。自己責任で」と公式に述べているものである。ここに引き合いに出すなら、この文章の前に、「インフルエンザの予防注射は効果が証明されていないが」という文言を入れるべきである。

厚労省でさえが知っているこの真実を、金子昌弘氏が知らないとは考えにくい。金子氏はこの事実を隠し、推測と感情論のみでがん検診をすすめるのだから、医師の片隅にもおけない。

さらに「がん検診に予防効果があれば」ではなく、「予防効果があると感じられる仕組みになれば」と続けるのだから、あまりの非科学性に怒りでいっぱいになってしまう。

医学の知識がない“庶民”は、「予防効果がありそう」というだけで、だますことができると豪語しているのだ。“庶民”をばかにするにもほどがある。

金子氏は「がんは3分の一から半数の人がかかる『普通の病気』」で、「仮に、がんになっても・・・完全に治す方法も開発されてきている」と続け、「我々にはがん検診の在り方を改革する努力が求められている」と結ぶ。

しかし・・・

「それにしても、日本の医学界を見渡してみると、がん検診の精度に関する論文は見られても、がん検診の有効性を疑う論文がほとんどないことはお粗末なことです。少なくとも、がん検診に対する疑問が大きな声で語られることはこれ(注:近藤誠氏の著作)までなかったのです。これは、がん検診が多くの医療関係者にとって生活の糧であるため、自己批判できないという側面もあるのでしょうが、日本人特有の思い込みが大きいのではないでしょうか。つまりがん検診はいいことであり、その有効性を疑う余地はないという論理です」

「がん検診の問題も、多くの専門家の利益とやりがいが結びついているため、自己抑制することは困難を伴うのです。このため特に予防的な医療行為に携わる人間には、倫理と科学性が要求されます。個人的な経験や推測に基づくのではなく、科学的な事実(原則として無作為臨床試験の結果)に基づかなくてはならないのです」 (同上)

金子氏および朝日新聞社員にはこの部分を読んでもらいたいものである。

参考(「キャンサーネットジャパン」の記述より)

「より早期の肺ガンが発見されればされるほど、より多くの成功した治療が可能となります。しかし肺ガンは早期に発見することが困難です。このような理由から、症状のない人における肺ガンを発見する方法が研究されています。これをスクリーニングと呼びます。スクリーニングの目標は症状が出る前に肺ガンを発見し、その結果できるだけ早期に治療を行うことを可能にすることです。肺ガンに対して有用なスクリーニングの方法が複数開発はされていますが、どれがよいかの結論に至っていません」 

さすがに「キャンサーネットジャパン」は「肺がん検診云々」とは言っていませんでした。しかし、肺がんの早期発見・早期治療が有効であるかは疑問です。近藤氏が以前、「1センチの肺がんと3センチの肺がんの治療成績が変わらないという論文が発表された」と言っていましたので・・・。

by lumokurago | 2006-01-28 22:18 | 社会(society)
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