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次回結審か?裁判官の“平目性”が出てきた

次回結審か?裁判官の“平目性”が出てきた
  ~大田原市扶桑社版歴史・公民教科書採択取り消し裁判


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 ピンクの花を咲かせた宇都宮の街路樹 

 5月17日1時15分から宇都宮地方裁判所において、栃木県大田原市における「つくる会」教科書採択の取り消しを求めた裁判の第2回口頭弁論が開かれました。

 前回裁判長が1時間の時間を取ると約束してくれたので、どんな弁論になるのかを楽しみに東京から傍聴にでかけました。前回の報告をしたしみずえいこさんがPTAの会があって傍聴できないため、この裁判の原告である筆者が報告します(筆者は原告席に座っています)。

初めから緊張気味の裁判長

 時間になって開いた扉から重々しく登場した裁判長は、前回に比べ初めからずいぶん緊張しているように見えました。

 開廷の言葉の後、すぐに原告席から白髪の紳士が発言を求めて立ち上がり、国民の裁判を受ける権利を保障し、今日の弁論を仲間にも知らせるために録音を許可してほしいと述べました。裁判長がやや小声で「できません」と答えたところ、この紳士は「ありがとうございます」とお礼を言いました。裁判長はそれを聞いて「いや、できないのです」と言うと、紳士は不審げに「なぜですか?」と訊ねました。裁判長は「録音は法律に基づき裁判所の許可によるが、この裁判には録音が必要であるとは判断しません」と述べました。

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 宇都宮地方裁判所

 報告会での話ですが、この紳士は当然許可されるものと思っていたので、条件反射的に「ありがとうございます」と述べたそうです。筆者は、裁判所というのは普通の市民の常識が通用しない場なのだなと改めて感じました。

 それから紳士は傍聴人にも内容を理解してもらうため口頭で陳述したい旨述べ、被告側にも本案前の答弁書を読み上げてほしいと申し入れました。そして原告からの弁論についての手順を述べました。

事務的なことになぜこんなに時間をかけるのか?

 裁判長は本案前の答弁書には触れず、「準備書面が出ているがこの通りか」と被告側に聞き、被告は「陳述します」の一言で陳述を終えました。それから裁判長は原告の準備書面について、原告全員の名前で出ていないが、全員のものでよいことを確認し、被告適格について準備書面間に矛盾があるのではないかと指摘しました。これに対して原告側弁護士は「矛盾しないと思ってやったが、更に検討する」と答えました。裁判長は更に何点かの疑義を述べ、それに対して弁護士は「次回にやります」と答えました。

 次に裁判長は入り口の問題で原告適格について原告の主張を確認し、請求の趣旨についても何点か弁護士に確認しました。ここまででだいぶ時間が過ぎました。

 それから、証拠の確認に入りました。甲3号証から7号証が提出されたということでしたが、確認に手間取り、ここでも時間を取りました。被告から「甲号証の番号を振ってください」という要望が出されましたが、裁判所のものにも番号が振っていないということで、「次回から番号を振ってください」と原告に注意がありました。報告会で出されたことですが、市民が仕事を持ちながら裁判を行っているため、時間的に間に合わず、番号を振る余裕がなかったとのことでした。それにしてもたった4つの証拠しか出ていないのに、番号を振っていないとはいえ、確認にかかった時間は長すぎでした。左陪席の若い女性の裁判官はきちんと準備していなかったのではないかと思わされ、また右陪席の年上の女性裁判官が裁判長に耳打ちしている姿が目立ちました。これはこの裁判の間中続きました。

 証拠として出された扶桑社版教科書の実物について、被告から、「もうお持ちだろうということで副本が提出されていない」という発言があり、裁判長が「民訴法上、必ず副本を提出することになっている。被告がなくてもよろしいならそれでもよいが、ぜひくれということならもう一部出すように」と述べました。被告側弁護士らしきAさんは「手元にあるが同一かどうか確認したい」と述べ、別の被告側弁護士らしきBさんは確認後、「ここにあるのは改訂版で日付が違うので、中味を全部見ないと内容が同じかどうかわからない」と、もう1冊ほしいようなニュアンスを述べました。

 筆者は、「どうせ同じなのにもう1冊ほしいのか、1冊であっても扶桑社を儲けさせるなんて!」と思っていましたが、裁判長は「同じものを副本として提出するように」と述べました。するとAさんは「必要ありません」と言い、Bさんは「公民だけで結構」と言いました。(被告が複数なのでこうなります)。

 裁判長が「提出するように」と原告に注意している場面なので、被告は裁判長の言う通りにするものと思っていましたが、Aさんがかたくなな声で「必要ありません」と何度も繰り返したので筆者はつい声をあげて笑ってしまいました。でも裁判長はここでは注意しませんでした。

原告の陳述1.宇都宮空襲を語りつぐ原告

 口頭弁論時間として取ってあった1時間のうち半分近くを無駄にした後、裁判長はやっとのことで原告に陳述を指示しました。

 まず、Oさんが風邪を引いているので聞きづらいことをお許しいただきたいと断った上で、陳述を始めました。Oさんは宇都宮の平和祈念会事務局長など平和に関する多くの活動をしているが、この裁判のために事務局長を辞任したそうです。ここで筆者はOさんのこの裁判にかける心意気を応援する気持で、思わず拍手してしまいました。すると裁判長が「裁判は芝居や演説ではないのだから拍手はしないように」と注意しました。

 Oさんは宇都宮で空襲にあったそうです。宇都宮は9回の空襲を受け、700~800人の方が亡くなった体験から、命の尊厳、平和の大切さを子どもたちに語り伝える活動をされているそうです。このことを詳しく述べた後で、扶桑社版教科書には重大な間違いがあると指摘されました。

214ページ7行目
 1906年にオランダでハーグ陸戦法規が締結されたとあるが、同法規は1899年に締結され1907年に改定されたものである。1906年は間違いである。7行目から18行目までの文はあいまいで、結局、殺戮・虐待はよその国もやっているからいいのだという書き方である。

(その箇所は以下のように書かれています。「戦時国際法では、戦闘員以外の民間人を殺傷すること、捕虜となった敵国の兵士を虐待することは、戦争犯罪として禁止された。しかし、2つの世界大戦を通じて、このルールははなはだしく破られた。実際には、戦争で、非武装の人々に対する殺害や虐待をいっさいおかさなかった国はなかった。日本軍も、戦争中に侵攻した地域で、捕虜となった敵国の兵士や民間人に対して、不当な殺害や虐待を行った」)

 また、1937(昭和13)年12月2日の重慶爆撃は、大本営が指示、命令したもので、中国によれば6~7万人が亡くなったとされている。これを契機にゲルニカ、ドレスデン、東京、広島への爆撃が行われたのであり、皮切りは重慶であったことをわきまえなければならない。

 ここで裁判長が、「教科書の記載が事実と違っているなら、被告に反論の機会を与えなければならない。この陳述は書面で出されるか」と聞き、Oさんは「はい」と答えました。筆者は裁判長が口を開いた時、陳述が長すぎるといって止めるのではないかと思ったので、意外でした。

 Oさんは陳述を続け、211ページの原爆投下の記述で、ソ連の和平仲介の返答を待っている間に原爆が落とされたとしているのは弁解じみていると指摘しました。実際にはヤルタ会談でドイツが降伏、その時、日本にも降伏が勧告されたが、日本はそれを無視したため宇都宮や他の地域も空襲されたのであり、ポツダム宣言も無視したために、原爆が落とされたのであると述べました。

 Oさんは子どもたちに宇都宮空襲を語る時、子どもたちから空襲の原因を聞かれたらこの話をするそうです。子どもたちの感想文の中には戦争は家や建物を壊すだけでなく人の心も傷つけるというものがあるが、その通りである。教科書は教材であり、それ自体が教育ではないが、教科書が与える影響は大きいので、原告になったのだと心情を語りました。

 裁判長はOさんの陳述後、書面がなければ口頭弁論調書に載せないので、書面を用意してほしいと述べました。

原告の陳述2.本案前の答弁に対する反論

 次に原告のSさんが被告の本案前の答弁に対する反論を読みあげました。これは(1)被告適格について、(2)出訴期間について、(3)原告適格についてです。

 Sさんは栃木県黒羽町在住で、採択後の2005年10月1日に、黒羽町、湯津上村が大田原市に合併されたことによって、扶桑社版教科書が押し付けられたのです。合併前の黒羽町、湯津上村は那須採択地区に指定されており、そこでは別の教科書(帝国書院版)が採択されていました。2地区は合併によって大田原市採択地区に変更されたのですが、その法的根拠はあいまいです。黒羽町では合併後、採択地区の変更を議決しましたが、湯津上村ではその点を議決しないまま、大田原市採択地区とされたのです。原告は合併によりこの問題が発生したので、出訴期間は採択時からではなく合併の行われた10月1日から1年間とすべきだと主張しています。

 続いてSさんは、日本政府はサンフランシスコ平和条約第11条によって東京裁判の判決を受諾し、そこから戦後が出発したのであり、その事実はイデオロギーによっていいとか悪いとか言えることではなく、変えることができないものであることを指摘しました。東京裁判では平和と人道に対する罪が裁かれ、戦争は違法行為であり、虐殺は人道に対する罪とされました。日本政府は諸外国に被害を与えたことをまずは受け入れたのです。

 ところが扶桑社版歴史教科書の「読み物コラム」の「東京裁判」の記述には非常に疑問が多く、日本政府は平和と人道に対する罪を受け入れたのだから、これが学説誌であるならよいが、教科書としては違法であると述べました。また、改定前の教育基本法に定められた教育の目的「平和で民主的な国家及び社会の形成者として」に違反する扶桑社版教科書を、国の行政庁である文部科学省が検定に合格としたところに重大な権利侵害があるとして、日本国民(人民)には原告適格があると述べました。

「次回の陳述は30分だけ」

 Sさんの陳述が終ると、裁判長は、今日は2時15分までしか時間を取っていないので、ここまでと述べ、被告適格について原告側弁護士に確認を求めました。弁護士は被告側が、法律上の利益を有しない理由を述べていないので、具体的に述べてほしいと要求しました。そして筆者には理解不能な法律上のやりとりがありました。裁判長は被告にこのことについて述べることがないかと質問しましたが、被告は「これ以上ない」と答えました。

 裁判長は原告にさらに主張を出すように言い、被告もあれば出すようにと言いました。そして裁判所からのお願いとして、「陳述はあらかじめ書面で出すように」と再度注意し、誰がどれを陳述するのか事前に連絡するようにと言いました。それから原告は「教育委員会とは何か」を明らかにする必要があると述べました。そして次回期日を決め、時間は30分とすると述べました。原告はもう少し時間を取ってほしいと求めましたが、聞き入れられませんでした。

報告会での傍聴者の感想

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 報告会の様子

・扶桑社版教科書に間違いがあることを国民に広く知らせなければならない。
・原告が理路整然と陳述したので感激した。
・原告1人ひとりが勉強してがんばっているのだから、拍手くらい大目にみてほしい。
・子どもにとっては教科書が全てである。自分は子どもの時に、教科書を隅から隅まで見た覚えがある。それが間違っているとは大変なことである。
・裁判長が態度を変えた。次回の陳述時間を30分と切ってきた。新しく何か加わったのだろうか?最後に述べたことはこちらへのサービスなのか、泥舟なのか?
・証拠作成に手間取り、番号を振ることができなかった。副本の件はいやがらせである。証拠確認等に手間取り、実質審議の時間が少なかった。本質的議論に入れなかったことを反省している。(Sさん)

・裁判官が尻込みしていた。録音はOKが出るものとばかり思っていたがダメだった。前回、拍手規制は直接ではなく、弁護士を通して言われた(弁護士は「原告に注意するのは自分の権限ではない」と答えた)が、今回は直接言われた。服従するのかしないのか、考えよう。形式論的なダメだしでわざと時間を使い、中味が忙しくなってしまった。(白髪の紳士)

・裁判長に当局から圧力があったと思う。被告の本性もよく見えた。なんら良心の呵責がなく、卑しい人たちである。この裁判の意義、重みに比して、原告は弱い。事務局体制を強化したい。今回1時間取ってくれたのに、次回は30分ということで厳しい。

弁護士からの講評

 今回の特徴は、拍手、録音の禁止、不備な証拠の確認などは次回でよいのに、あえて今回行ったこと、わざと事務手続きに時間をかけ、次回を30分としたことである。これをどう見るか?裁判長が尻ごみし、裁判官の本質が出てきたということである。裁判所の内部で前回が甘すぎという議論があったと思われる。裁判長は最初から緊張していた。原告、被告の差が歴然となってきて、被告は内容がない。このままでは被告が負けることになり、中味に入ったら教科書は木っ端微塵になってしまう。早く終らないと命取りになると自覚した。そこで裁判官の平目性が出てきた。

 次回30分しか取らないということ、次回にまわしてもよい不備な証拠の確認をあえて時間をかけて行ったことは次回結審の意思表示である。何を理由に結審してくるか?

 被告適格か原告適格か、出訴期間か?出訴期間にはこちらに一部弱い点があるので出訴期間を理由に結審の可能性が大きい。巻き返しをしておかなければならない。

 録音に関連してだが、ドイツでは「撮影禁止」について訴訟を起こし、最高裁で「おかしい」という判決が出た。日本の裁判では以前は傍聴者がメモをとることも禁止されていた。それに対して日本人は黙っていたが、外国人記者が訴訟を起こし、最高裁まで行って認められた。何も言わなければ変わることはない。異議申し立てをたくさんしておき、忌避の客観的証拠を作っておき、裁判官を忌避するのが効果的である。

筆者の感想

 前回あんなに好意的で1時間も時間をとってくれた裁判長が、手のひらを返すように人が変わっていたので驚きました。これが「裁判官の平目化」なのだと実感しました。裁判官個人には良識があっても、最高裁の統制により「平目化」してしまうのです。(原告側弁護士である生田暉雄氏の講演会報告記事参照)。最高裁の統制に対してはごくごく少数の裁判官を除き、個人では抵抗できないことでしょう。裁判官を「平目化」させずに、本来持っている良識に基づき、公正な裁判を行わせるためには、国に対して主権者がもっともっと意見を述べ、同時に裁判を監視することが必要であると共に、もっと多くの国民にこの実態を知らせて、行動してもらう必要があります。そのためにはマスコミがその役割を放棄している今、JanJanのようなオルタナティヴメディアをもっと充実させていくことが課題となるでしょう。

【次回期日】
2007年7月19日(木) 午後1:15~30分間
宇都宮地裁302号法廷(JR宇都宮駅より4番バスで15分)
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by lumokurago | 2007-05-25 13:39 | その他裁判関係
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