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安倍裁判準備書面(14)

平成18年(ワ)第20396号 安倍晋三等に対する損害賠償請求事件

準 備 書 面 (14)

「議員の会」結成趣旨自体が改定前の教育基本法第10条違反

被告は準備書面(2)第1の1「若手議員の会の結成趣旨」で、「若手議員の会」とは「中学校歴史教科書に従軍慰安婦の記述が載ることに疑問をもつ」若手議員が集まり、「歴史教育のあり方について研究・検討すると共に国民的議論を起こし、行動することを目的として発足した国会議員有志の研究会である」と述べている。

さて、「議員の会」の結成趣旨は被告の述べた通りであるが、この結成趣旨そのものが改定前の教育基本法第10条に違反する違法行為であることを述べる。

まず「従軍慰安婦」という用語について検証しておく。「従軍慰安婦」が英語に訳される場合は「wartime sex slavery」=直訳すると「戦争時性奴隷」または単に「sex slavery」(性奴隷)であり、「慰安婦」の訳語である「comfort women」は「日本の婉曲表現」と言われているように、原告は「従軍慰安婦」という言葉がその実態にふさわしくないと考えている。よってこの言葉に鍵カッコを付すものとする。

「従軍慰安婦」については、1992年1月、吉見義明教授によって防衛研究所図書館から資料が発見され、政府はそれまでの「民間業者が連れ歩いた」という立場を翻し、宮沢喜一首相(当時)がその直後の訪韓時に盧泰愚大統領に「お詫び」を表明した。以後、政府は92年、93年の2回にわたり調査結果を公表して、全容解明とは言えないまでも、軍・政府関与と強制性を認めた。1993年8月4日には「河野談話」が発表され、以後この談話は日本政府の公式見解となっている。

河野談話には「われわれはこのような歴史の真実を回避することなく、むしろこれを歴史の教訓として直視していきたい。われわれは、歴史研究、歴史教育を通じて、このような問題を永く記憶にとどめ、同じ過ちを決して繰り返さないという固い決意を改めて表明する」とあり、これを受けて、歴史教科書に「従軍慰安婦」がとりあげられるようになったのである。つまり、歴史学者による研究、政府の調査、政府の見解をもとに「従軍慰安婦」は教科書に載っているのであり、そこには正当な根拠がある。それを自分の気にくわないからと言って「自虐的」などといちゃもんをつけ、削除させようなどとすることはまるで幼児がだだをこねていると同様の愚かな行為である。

さらに15年にわたって争われてきた「慰安婦」裁判はほとんどが敗訴したが、これまでに提訴された9つの裁判のうちフィリピン、台湾を除く7つの裁判で軍の関与・強制性・被害事実が、被告国と原告被害者双方の「争いのない事実」として、あるいは証拠に基づいて認定されている。いわゆる「下関裁判」(正式名称は「釜山従軍慰安婦・女子勤労挺身隊公式謝罪等請求事件」)では「立法不作為による国家賠償を認め」た画期的な判決も出された。ここからは政府にたてつくことができず、敗訴にせざるを得ない裁判官の良心のうめきが聞こえてくるのである。【甲第21号証の1、2】

ここには事実認定の例として、アジア太平洋戦争韓国人犠牲者補償請求事件、2003年7月22日の東京高裁の判決文より引用する。

第4、当裁判所の判断

1、本件の背景事情及び控訴人らないしその関係者各自についての事実経過についての判断
(一)本件の背景事情の概略について
(2)本件の背景事情のうち争いのない事実と証拠(甲1、3ないし5、48の3、68、証言吉見義明)によれば、次の事実が認められる。

ア 旧日本軍においては、昭和7年(1932年)いわゆる上海事変の後ころから、醜業を目的とする軍事慰安所(以下たんに「慰安所」という。)が設置され、そのころから終戦時まで、長期に、かつ広範な地域にわたり、慰安所が設置され、数多くの軍隊慰安婦が配置された。
当時の政府部内資料によれば各地における慰安所の開設の理由は、旧日本軍占領地域内で旧日本軍人が住民に対し強姦などの不法な行為を行うことを防止し、これらの不法な行為によって反日感情が醸成されることを防止する必要性があることなどとされていた。

イ 軍隊慰安婦の募集は旧日本軍当局の要請を受けた経営者の依頼により、斡旋業者がこれに当たっていたが、戦争の拡大とともに軍隊慰安婦の確保の必要性が高まり、業者らは甘言を弄し、あるいは詐欺脅迫により本人たちの意思に反して集めることが多く、さらに、官憲がこれに加担するなどの事例も見られた。
戦地に移送された軍隊慰安婦の出身地は、日本を除けば、朝鮮半島出身者が大きな比重を占めていた。

ウ 旧日本軍は、業者と軍隊慰安婦の輸送について、特別に軍属に準じて渡航許可を与え、また、日本国政府は軍隊慰安婦に身分証明書の発給を行っていた。

エ 慰安所の多くは、旧日本軍の開設許可の下に民間業者により経営されていたが、一部地域においては旧日本軍により直接経営されていた例もあった。民間業者の経営については、旧日本軍が慰安所の施設を整備したり、慰安所の利用時間、利用料金、利用に際しての注意事項等を定めた慰安婦規定を定め、軍医による衛生管理が行われるなど、旧日本軍による慰安所の設置、運営、維持及び管理への直接関与があった。
また、軍隊慰安婦は、戦地では常時日本軍の管理下に置かれ、旧日本軍とともに行動させられた。

オ 宣戦の拡大の後、敗走という混乱した状況の下で、旧日本軍がともに行動していた軍隊慰安婦を現地に置き去りにした事例もあった。

(引用ここまで)

山口地裁下関支部は1998年4月27日、釜山従軍慰安婦・女子勤労挺身隊公式謝罪等請求事件判決で、「事実問題」の部分に1993年8月4日の内閣官房内閣外政審議室による「いわゆる従軍慰安婦問題について」にある事実認定の部分を引用し認定した後、次のように述べている。

第三 法律問題
四 立法不作為による国家賠償請求について
3 そこで、以上の見地に立って本件につき検討を加える。

(一)従軍慰安婦について
 ③ しかしながら、従軍慰安婦に対する人権侵害の重大性と現在まで続く被害の深刻さを鑑みると、次のような解釈が可能と考える。

従軍慰安婦制度は、その当時においても、婦人及び児童の売春禁止に関する国際条約(1921年)や強制労働に関する条約(1930年)上違法の疑いが強い存在であったが、単にそれのみにとどまらず、同制度は、慰安婦原告らがそうであったように、植民地、占領地の未成年女子を対象とし、甘言、強制等により本人の意思に反して慰安所に連行し、さらに、旧軍隊の慰安所に対する直接的、間接的関与の下、政策的、制度的に旧軍人との性交を強要したのでもあるから、これが二十世紀半ばの文明水準に照らしても、極めて反人道的かる醜悪な行為であったことは明白であり、少なくとも一流国を標榜する帝国日本がその国家行為において加担すべきものではなかった。

にもかかわらず、帝国日本は、旧軍隊のみならず、政府自らも事実上これに加担し、その結果として、先に見たとおりの重大な人権侵害と深刻な被害をもたらしたばかりか、慰安婦原告らを始め、慰安婦とされた多くの女性のその後の人生までをも変え、第二次世界大戦終了後もなお屈辱の半生を余儀なくさせたものであって、日本国憲法制定後五十年余を経た今日まで同女らを際限のない苦しみに陥れている。
(引用ここまで)

このように「従軍慰安婦」問題は日本政府としてその事実を認定しているものであり、被告安倍も2006年10月6日衆議院予算委員会で「河野談話」を「私を含め、政府として受け継いでいる」と答弁した。【甲第22号証】

この時も被告安倍は「狭義の強制連行については証拠がない」などとぶつぶつ言っていたが河野談話では「強制連行」を認定しており、そこに「広義」も「狭義」もない。被告安倍は「狭義」を「家に乗り込んでいって強引に連れて行ったのか」とし、「広義」を「自分として行きたくないけれどそういう環境の中にあった、結果としてそういうことになった」と表現しているが、「狭義」と「広義」にそんなにこだわるのはなぜか? 「狭義」の強制連行がなければ、日本政府の責任がないと言いたいのか? 責任逃れのためにこじつけているとしか見えず、首相として醜悪であり、こんな幼児のような人物を首相にしているのかと思うと、穴があったら入りたい思いである。

もしも「狭義」の強制連行がなかったとしても「広義」の強制連行だけで十分に日本政府には責任があるのである。それをこんなふうに「だだをこねている」様子は、目の前で散らかしているところを見られていたのに「片付けなさい」と言われると「オレ、やってないもん」と言う幼い子どもを連想してしまう。本当に幼児なのである。それを自覚していないからポロポロと幼児性を出し、2007年3月にも、「従軍慰安婦」強制連行の証拠はないなどと発言し、英字新聞に叩かれている。3月中にジャパンタイムズ紙に8回、インターナショナルヘラルドトリビューン紙には5回、関連記事が掲載された。ロサンゼルスタイムズ紙も日本政府は「慰安婦」に対して法的にも道徳的にも償うことが求められているという記事が掲載された。【甲23号証】

アメリカ下院でも「慰安婦」決議が検討されたのは、耳に新しいが、このままでは日本は国際社会から孤立するのは火を見るよりも明らかである。否、すでに孤立しているのであろう、知らぬは本人ばかりなりである。
 
結語

以上述べてきたように「従軍慰安婦」問題は日本政府として事実認定したものである。それにもかかわらず単にそれが気に入らないという感情的理由のみで歴史教科書から「慰安婦」記述を削除させ、「新しい歴史教科書」普及を目的とした「議員の会」を結成した(準備書面(13)1.参照)のだから、結成趣旨自体が改定前の教育基本法第10条違反であることは明らかである。

教育は政治から独立したものでなければならない。このタガをはずしてしまうと、戦争で儲けたい財界とつるんだ強大な権力を持った政治家の思惑によって、国は再び侵略への道を突き進み、世界中に迷惑をかけ、他国民および自国民を殺すことになるのである。
政治家が教育に口出しすること、ましてや戦争教育の根幹に関わる歴史教科書を、その圧力をもって思いのままにすることは、教育基本法第10条が禁じた「教育への不当な介入」以外の何ものでもない。

裁判所は良心に基づき公正な判断をされるようお願いする。

以上

by lumokurago | 2007-05-27 22:05 | 安倍裁判
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