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私は1976年7月から2005年3月まで29年間、杉並区の学童クラブで働いていました。今の子どもたちの「生きづらさ」がどこから来ているのか、その問題を考える糸口となれるよう、私が書いてきた文章の中から拾っていきます。今日は、私が就職して初めての年を過ごして作った文集に載せた文章をご紹介します。
このごろ思うこと (1977年5月) 私たちのクラブのある高井戸小学校は交通量の多い環状八号線に面しています。それにもかかわらず、周辺にはまだまだ自然が残っており、学校の隣りには昼なお暗くうっそうと茂った通称「ちかんの森」もあります。隣りにそんな森があるせいか、校庭にはイボガエル、カブトムシ、その他気味の悪い虫たちが生息し、秋にはアキアカネが舞います。そんな自然の中で、高井戸の子どもたちは毎日のびのびと飛び回っています。 幼い頃をこの近辺で過ごした私から見れば、いくら自然が残っているといっても、それは昔、私が子どもだった頃の何十分の一か知れません。しかしこの狭くてゴチャゴチャした現在の東京では、この位自然の残った環境で生活できる子どもたちは、むしろぜいたくとも言えるのでしょう。 けれども本来なら広い原っぱや小川の流れる丘陵で思う存分走り回ってほしい子どもたちです。その子どもたちを学童クラブなぞに閉じ込めることには、いくら社会の状況からやむを得ないこととはいえ、ひとりのオトナとしてやはり罪の意識を感じるのです。そして、学童クラブの中で子どもたちがのびのびと元気に育ってくれることを願う一方、学童クラブが存在しなければならない社会にやり場のないいらだたしさを感じています。 もちろん、そんないらだたしさとは無関係に、学童クラブは現在の働く母親たちにとってなくてはならないものです。そんなふうに仕方がないのだとあきらめ、一歩譲って学童クラブの中で何をするのかを考えなければならないのですが、やはり私はその前にあるいらだたしさを覚えていたいと思います。
by lumokurago
| 2007-12-20 21:46
| 子ども・教育
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