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精神科医の香山リカさんの本を2冊読みました。
1冊目は「若者の法則」(岩波新書)。目次だけ挙げます。 1.「確かな自分をつかみたい」の法則 2.「どこかでだれかとつながりたい」の法則 3.「まず見かけや形で示してほしい」の法則 4.「関係ないことまでかまちゃいられない」の法則 5.「似たものどうしでなごみたい」の法則 6.「いつかはリスペクトしたい、されたい」の法則 長年子どもたちとつきあってきた私にはどれも「ああ、そうだろうな」という内容でした。先の見えない不安な社会、実体のない自分、実感の得られない生活、確かなものが何もなく、信じられるものもない、浮遊するだけの自分・・・本当に生きづらい社会ですが、若者は自分なりに生きようとしています。 2冊目は「なぜ日本人は劣化したか」(講談社現代新書) こんな本、よく書いたなあと思いました。なぜって「みんな」のことを悪く言うのは勇気がいるからです。ましてや本にするなんて! 私が本を書いた時、編集者に「希望がないと本にできない」と言われ、大変でした。その頃(今もですが)の子どもたちにははっきり言って「希望」などなかったからです。最近久しぶりに読み返したのですが、今思えば、この「希望」をかなり強引にこじつけたなという気がしました。当時としてはそこにしがみついた気持ちもわからなくはないのですが、やはり無理があります。他は今でも古くなっておらず、本質的なことが書いてあるいい本です(自画自賛ですが本当です)。 あの頃、私が「子どもたちが変わってきた」と言っても、「いつの時代でも大人は子どもをそう言うものだ」という人たちがおり、わかってくれる人にも編集者のように「それでも希望があるはずだ」と思っていた人が多かったと思います。もちろん「希望」を否定だけしていればいいということではありません。でも、あの頃からそれほど深刻な事態だったのだということを、私はもっと訴えなければなかったと今は思います。(もちろん訴えていたのですが、「希望」でしめくくる本にしない方がよかったのではないかと思っています。ますます売れなかっただろうけど) あの本に書いた時代(1980年初め)から、子どもたちは劣化し始めました。子どもたちだけではありません。お母さん方も職員も劣化し始めました。それでもなんとかがんばっていい関係を作り、いいはたらきかけができていた時期もありますが、今となってはすべて夢のようです。今の「劣化」は香山リカさんがこんな本を出すくらいになってしまいました。つまり、無名の私があの時「劣化」を叫んでも誰も耳を貸さなかっただろうけど、今は有名な精神科医が本にしているということです。この本を読んで同感する人が多いのでしょう。 ひどい時代です。時代がひどいだけでなく、人間が「劣化」しています。 でも「希望」はあの頃よりもあるのではないでしょうか? 時代が悪くなった分、見えやすくなり、苦しむ人も多くなって、行動する人も出てきているからです。この間は「なぜ気がつかないのか?」なんて書いたけど、気がついた人は少しずつかもしれないけど確実に増えてきています。 多くの人が気がついて、ひっくりかえすことができるのか、それともこのまま落ちる一方なのか・・・、ここまで「劣化」してしまったけれど、それも自分たちの責任です。淡々とあきらめずにやっていきましょう。
by lumokurago
| 2008-04-13 22:35
| 子ども・教育
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