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『ダイバーシティ―生きる力を学ぶ物語』を読んで

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『ダイバーシティ―生きる力を学ぶ物語』を読んでをJANJANに書きました。この本はJANJANで私を応援してくださっている山口一男さん(シカゴ大学教授)の著書です。挿絵は静岡在住の親友・森和子さんの姉、森妙子さんです。書店で見かけたらぜひお手にとってご覧ください。考える材料とヒントがたくさんつまったいい本です。

私の本「負けるな子どもたち」から引用してくださっています!!
あとがきにも私の名まえが載っています!!

*****以下、記事です。

 本書は先ごろまで市民記者の一員として活躍されていたシカゴ大学教授(社会学)山口一男氏の著書である。基本的には社会学の本であるが、収められた物語の一つはファンタジー、もう一つは教育劇でとても読みやすく、どちらも挿絵がたくさん入っていてイメージを膨らませてくれる。著者は「社会学者だからこそ書ける文学」があるのではないかと考え、本書を執筆したそうだ。

「六つボタンのミナとカズの魔法使い」

 ファンタジーは「六つボタンのミナとカズの魔法使い」と題された、本来7つあるはずのボタンのうち一つが欠けた洋服を持った少女ミナの成長物語である。ミナは「欠けた」ボタンのことでいじめられ、両親を恨む気持ちもあるが、そんな自分はいやだし、ボタンを一つつけ忘れたことで自分を責めている両親を気の毒にも思っていて、彼女の思いは複雑だ。

 ミナは「欠けた」ボタンをつけてくれるであろう「カズの魔法使い」を訪ねて旅に出る。そして知恵を働かせていろいろな関門をくぐりぬける。この関門のエピソードに社会学や統計学、哲学のテーマが隠し絵のように挟み込まれているのである。ミナに自分を重ね、共に旅に出、悩み楽しむと同時に、いつの間にか社会学の講義を受けているような気持ちになってくる。かといって堅苦しいものではなく、非常に興味をそそられるものである。

 筆者にはミナと近い経験があるので、ミナの心理はまるで自分のことのようにわかるが、人間誰でもそれぞれに「欠けた」部分があるので、ここで描かれているミナの成長は誰もが共感できるものなのではないだろうか。

 ミナは自分が心の問題を抱えていることを自覚していたが、この旅で、差別する側の社会にも大きな問題があることに気づいていく。また、自分が自分から逃げていたことにも気づき、自分としっかり向かい合うことを始める。

 筆者は自分の「欠けた」部分はとうに克服しているはずの年齢であって、ふだんは順調に生きている。しかしひとたび事が起こると、この年になってもまだ自分の原点である「欠けた」部分を思い出させられ、何度目か、何十度目かの「成長」への旅に出ることがある。その時にはまた悩み苦しみ、「欠けた」部分の持つ「負」の意味を思い知らされるが、しかしよく考えてみるとその「欠けた」部分は、逆説的ではあるが自分を自分らしくしている核をなす部分でもあることに気づくのである。

 「負」を抱えたまま人は生きていけない。あまりにつらいからである。ミナも私も「負」を乗り越えて生きていく。しかし、カズの魔法使いは「欠けた」ところがあっても、「人間はみなひとりひとり違うからこそむしろいいのじゃよ」と言う。なんてほっとできる言葉だろう。

 振り返って今の子どもたちのことを考えてみよう。ひとりひとりの子どもの多様な存在をありのままに認める代わりに、受験勉強における成績というたった一つの物差しに合わせて子どもに競争ばかりさせる。こんな社会はなんと貧しいのであろうか。

 この物語はファンタジーとしてだけ読むこともできるが、社会学のテーマに興味のある人のためにていねいな解説もついており、至れり尽くせりだ。

「ライオンと鼠」

 二つ目の物語、教育劇は、イソップの寓話「ライオンと鼠」を素材にして行われた日本とアメリカの社会、文化について考える大学での講義を元に劇風に描いたものである。学生たちの議論が生き生きとしており、こんな授業なら一度受けてみたいと思わせられる。

 アメリカと日本の文化の違いには、改めていろいろなことを考えさせられる。たくさんのテーマがつまっているが、特にアメリカの子育てと比較して、日本の子育てや子どもの意識に対して重要な考察がなされている。

 例えば、著者は日本の地下鉄の中で母親がぐずる子どもを叱る場面に遭遇し、アメリカの母親のそれとの違いに衝撃を受ける。アメリカの母親が合理的に善悪とその理由を教えるのに対して、日本の母親は人に嫌われぬよう、周りの「空気」に合わせることを要求する。著者はこの傾向が「空気が読めない」人を批判するような風潮とつながっているのではないかと指摘し、それは非合理的であると批判する。

 また、著者は日本の子どもの自尊心の低いことに注目し、自尊心が低い者ほど物質主義的になることが確かめられた最近の研究を紹介、子どもの自尊心を高めるためには日常生活において子どもが褒められ、認められる場面を増やすことが大事であるとする。現在の日本には学業成績以外のことで子どもが認められる場面はあまりにも少ない。だから際限なく物をほしがるのだ。本当にほしいものは物ではないのに・・・。

 子育てのむずかしい時代にどのような子育てをしていけばいいのか、著者はそんな問いに答えるかのように具体的なヒントを挙げている。

 後半では「ライオンと鼠」を現代アメリカ版、現代日本版に書き換えたテキストも紹介され、議論されているが、私はこれを読んでアメリカでも日本でも人間の信頼関係が薄まっていることを感じざるを得なかった。著者はそんな状況において、価値観の異なる他者と信頼関係を築き、豊かな社会の実現に取り組むためには本書のタイトルである「ダイバーシティ」という言葉が重要な意味を持ってくることを説き、これからみなで考えていきたいと呼びかけている。

「ダイバーシティ」

 「ダイバーシティ」とは聞きなれない言葉であるが、「多様性」と訳されるそうだ。著者はこの本で、魔法使いカズが述べた「みなひとりひとり違うからこそむしろいいのじゃよ」という言葉をダイバーシティ理念とし、「多様な人々に社会的機会を平等に開いて、より多くの人々が自らを生かす可能性を広げられるような社会制度を構築すること」がダイバーシティであるとしている。筆者はこの本が「ダイバーシティ」という概念を日本に定着させる役割を果たしてくれるのではないかと期待している。

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by lumokurago | 2008-08-01 15:54 | JANJAN記事
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