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あの藤原和博氏が杉並・和田中で行った本当のこと~独断専行と公教育の破壊
大阪の橋下知事は藤原氏を教育顧問とし、藤原流教育「改革」を大阪でも行おうとしています。危機感を持つ大阪の仲間のために書いた原稿を少し直してJANJANにも載せてもらいました。 全国に広がる恐れもある公教育の危機です。ぜひお読みください。 *****以下、記事です。 藤原和博氏は2003年度に東京・杉並区立和田中学校に民間会社「リクルート」出身の校長として鳴り物入りで登場しました。それ以来、「よのなか科」、有名人による「特別授業」、地域本部(学校支援本部)の立ち上げ、土曜日に補習授業を行う「ドテラ(土曜日寺子屋)」、民間の塾との提携による「夜スペ」と、いわゆる「改革」を次々に行ったとされます。しかしその実態はどうか? 地元住民の1人としてお伝えします。 1.地域本部の実態 藤原前校長の取り巻きを集めた地域本部、その不透明な会計 文科省は和田中の地域本部(学校支援本部)をモデルとし、全国の学校に学校支援本部を作るため、今年度50億円の予算を組みました。でも、和田中地域本部が全国のモデルにふさわしいとは到底思えません。情報公開により入手した唯一の文書は、「和田中地域本部連絡名簿」1枚のみで、校長と事務局長の名前といくつかの担当名(例:地域本部会計、安全管理、顧問など)が残っているだけで、まっ黒に墨塗りされています。 藤原前校長は、地域本部は杉並区の公認団体であると公言していますが、団体認可等の書類もありません。出来てから約4年間、規約もなく(夜スペ開始の直前に必要に迫られ、後追いで作成)、メンバーは藤原前校長の独断で任命され、任期も不明瞭で、校長の意向通りに動く「取り巻き」を集めたというのが実態です。区から補助金が約560万円出ており、区議会議員が決算報告の開示を要求しましたが、未だなされていません。 和田中地域本部は出来てから会計報告が全くなく、この7月に初めて和田中地域運営協議会の席上、「決算のようなもの」が出されました。「のようなもの」というのは、そこに書かれているのは公費と私費に分けた収支だけで、明細が一切ないからです。領収書もありません。 昨年度の収入は、なんと1,677万円もあるのに、何に使われたのか、何もわかりません。198万円の収支差益が出て、今年度に繰り越していますが、もとは保護者から集めた受講料なので、余ったら返還すべきものです。驚くべきことに、地域本部には会計監査もなく、千万円台の大金をこのようにずさんに使っているのです。この不透明な会計については、区議会でも取り上げられています。 現在、藤原氏の信任厚い地域本部長は、この「使途不明金」問題で学校運営協議会から不信任され、代わりに元伊藤忠のサラリーマンで現・土曜寺子屋の校長をしている人物が地域本部長に選ばれました(藤原前校長と代田現校長はこの更迭に強く反対したが、学校運営協議会で決定された)。ごく一部の特定の人間が多額のお金を管理、運営することにより、いわゆる個人流用が疑われており、この不信任劇に見られるように「校長の取り巻き」による地域本部のあり方そのものが問われています。 学校選択制による地域の破壊 それ以前の問題として、和田中には実質的な「地域」がありません。杉並区では隣接する学校への学校選択制が敷かれており、特に和田中は特別に杉並全域から希望してよいことになっており、特別なカラー刷りのパンフレットもあります。予算面で優遇されているのです。その結果、以前の学区域からの生徒が3分の1、杉並区内の生徒が3分の1、区外からの越境入学が3分の1となっています。藤原氏は「地域を大事に」と唱えていますが、こんな状態で「地域」と言えるのでしょうか。 和田中の隣接地域の町内会長は、新聞に夜スペ反対の投書をし、掲載されました。地元町会は地域本部には入っていません。その代わりに地域本部とは別組織ですが、学校運営協議会に「協力企業」として藤原氏と個人的に関わりの深いゲームソフト会社やIT企業が名前を連ねています。藤原氏は地元の町会よりも企業との関係を重要視しているのです。もともとあやふやな「地域」ですが、これではますます「地域を大事に」しているとは思えません。 最近、東京都江東区や群馬県前橋市で、子どもと地域との関係の希薄化とともに、児童生徒数の偏りによる教科指導や部活動への支障が懸念される、などとして学校選択制が見直されました。学校支援本部立ち上げに予算をつけた文科省も、学校選択制の中で「地域」を大事にすることが可能かどうか、まじめに考えてほしいものです。 2.公教育の破壊 公教育の市場開放は政府の方針 2000年に政府の「21世紀日本の構想」懇談会の報告が出ていますが、その中に次のように書いてあります。 ―広義の教育における国の役割は二つある。一つは、主権者や社会の構成員として生活していく上で必要な知識や能力を身につけることを義務づけるものであり、もう一つは、自由な個人が自己実現の手段を身につけることへのサービスである。つまり、「義務として強制する教育」と「サービスとして行う教育」である。 現在の日本の教育では、この二つの教育が混同され、授業内容についていけない子どもには過大な負担を与えながら、それを消化してより広く好奇心を満たしたい子どもには足踏みを強いる結果を招いている。そこで、21世紀にあっては、これまで混同されてきた二つの教育を峻別し、「義務としての教育」は最小限のものとして厳正かつ強力に行う一方、「サービスとしての教育」は市場の役割にゆだね、国はあくまでも間接的な支援を行うことにすべきである。 例えば、初等中等教育では、教育の内容を精選して現在の5分の3程度まで圧縮し、週3日を「義務としての教育」にあて、残りの2日は「義務としての教育」の修得が十分でない子どもには補習をし、修得した子どもには、学術、芸術、スポーツなどの教養、専門的な職業教育などを自由に選ばせ、国が給付するクーポンで、学校でもそれ以外の民間の機関でも履修できるようにすることが考えられる――。 和田中はまさにこの報告書にある考え方に基づき、国家として責任を持つ公教育を削減し、市場開放する方向に進もうとしています。少子化の現在、営利企業の一つである塾にとって、顧客獲得合戦は生き残りをかけた熾烈なものです。 報道によれば、進学教室チェーン「サピックス」が顧客獲得作戦の一環として学校に乗り込もうとし、「交通費と教材費を出してくれれば講師料は無料」というダイレクトメールを150通出しました。藤原氏が「すぐに電話した」とされていますが、実は声をかけたのは藤原氏の方だということが分かっています。藤原氏は政府の尖兵となって、公教育を市場開放しようとし、サピックスの営利と結びついたのです。 企業論理を持ち込んで公教育を破壊 区教育委員会庶務課長は、「塾にとってもメリットがある、それから学校側、生徒側にとってもメリットがあるという中で、お互いの利害が一致した。じゃ、これを地域本部としてやっていこう」ということで進めてきたと答弁しています。しかし、教育の場に「メリット」「利害関係」という言葉が登場すること自体、教育の退廃を意味すると言わざるを得ません。教育は長期にわたり子どもを「人格」として育てる営みであり、「メリット」「利害」をすぐに計算できるものではないからです。 公立学校に利害や経済効率を至上命令とする企業理論を持ち込むことは、公教育の破壊です。教育は全人的なものとして行われるべきであり、成績を上げること、偏差値の高い学校に合格することのみを取り上げ、企業理論に基づいて子どもを儲けのターゲットとすることは、人間としての子どもを否定することになる、と思います。こうした子ども観は、子どもを一人の人間として見るのではなく、「企業に役立つ人材」として、「人的資源」、「商品」として見るものです。藤原氏は企業の人で、企業に役立つ教育以外には興味がないのだ、ということが分かります。 もう一つ、日本の教育にとっての重大な変換を指摘したいと思います。この社会には少し前まで、受験戦争は子どもたちにとって決して好ましいものではなく、できるだけ緩和すべきである、という教育理念がありました。しかし現在では、私立中学受験のため小学生も熾烈な競争に巻き込まれるようになり、いつの間にかそれを当たり前とする社会になってしまいました。そのため、和田中のみならず公立学校に塾を入れ、受験のために成績を上げることを公立学校の一部で率先して行うようになりました。受験戦争への問題意識を捨て、競争して(受験のための)成績を上げることは当然のことだ、と社会が認めたということになります。これは子どもたちにとって、非常に大きな教育理念の変換です。 サピックスへの利益誘導 杉並区は「実費程度しか取らないから営利性はない」として目的外使用を許可し、公立学校施設を1企業であるサピックスに無料で貸与しています。しかし、住民監査請求の監査結果でも、「私塾の主観的意図はどうであれ、客観的には私塾の本事業への関与は営利事業として行われているとみることが妥当である」としています。 区は、非営利団体の地域本部が行っているので営利事業ではないと言い逃れています。なんという詭弁でしょうか。地域本部自体に営利性がないとしても(ずさんな会計を見れば、これもあやしいとの疑義もあります)、マスコミにあれだけ取り上げられたことによるサピックスという企業にとっての実益は、計算不能なほどです。公立中学校がこのように1企業の利益誘導をはかることは許されません。 3.プール事故の隠ぺいと過剰すぎるマスコミへの露出 和田中では2007年7月にプール事故があり、1年生男子生徒が意識不明の重体になって、しばらくの間、植物状態でした。現在、意識は回復しましたが、養護学校の訪問学級在籍です。このような重大事故を、藤原前校長に傷をつけまいと、杉並区は徹底的に隠ぺいし、事故調査委員会さえ作りませんでした。事故報告書も紙1枚のズサンこの上ないものしかありません。 その後、大分県でも同様の事故が起こっています。杉並区長、藤原氏は子どもの命をなんと心得ているのでしょうか。区民はこの重大事故について取材、報道するようマスコミ各社に訴え続けましたが、現在に至るまで報道はありません。ちなみに、今年起こった同じ杉並の小学校の天窓転落死亡事故では校長と担当教員が、是非はともかく、刑事告発されました。藤原氏はここでも特別扱いされているのです。 藤原氏は、重大事故は隠ぺいする代わりに、自己宣伝のためには生徒の顔も露出させてマスコミを利用しています。藤原氏の、利用できるものはなんでも利用するという貪欲な自己宣伝欲に対し、区教育委員会、区議会文教委員会などでそういう姿勢をたしなめる意見が頻繁に出ています。 4.低い地元での評価 和田中についてはマスコミが大きく取り上げ、絶賛したので、それを見たり読んだりしている限り、本当の改革であると錯覚させられても不思議ではないと思います。しかし、地元・杉並での評価はいたって低く、「つくる会」支持の教育委員や与党会派の議員の間でも藤原氏の評判は芳しくなく、酷評されていると言っても過言ではありません。夜スペ開始にあたっては、野党会派はむろん、与党会派の議員からも次のような疑義が出されました。夜スペに賛成した文教委員、教育委員はゼロでした。 ・富本委員(自民党) 新聞報道で先に知って、文教委員会では初めて報告された。教育委員会が平等とか機会均等という視点を持ってチェックすべきである。その上で学校や地域の自主的な取り組みを重んじるというスタンスがあるのではないか。それがないように見える。厳しく言えば教育委員会が藤原校長に引きずられている。 和田中は私立中学ではないという批判があるが、どうか。藤原校長は地域運営学校の会長にもなっているが、その会長は校長に対する人事権も持っているので、藤原氏がなるのはおかしくないか。また、2代目の民間人校長も和田中だということだが、院政を敷くのではないかという噂もある。1学校が記者会見までやる必要があるのか。 「夜スペ」は地域本部でやると言っているのに、インタビューに出るのは藤原氏ばかりで、地域本部を隠れ蓑にしているのではないか。学校支援本部(地域本部)とはなんぞや? 権限はどこまであるのか? これでは区教育委員会はいらないことになる。公教育における機会均等の原則はどうなっているのか? ・青木委員(公明党) 富本委員とだぶらない点について。マスコミ発表は必要なかったのではないか。藤原氏の実践にはよい点もあるが、マスコミ優先、報道優先で子どもが利用されている部分もあるのではないか。子どもや保護者はどう思っているのか? これをやって全体としてプラスになるのかマイナスになるのか疑問である。将来にわたって弊害をもたらすことはないのか。テレビでサピックスが生き残りをかけて、経営戦略を考えていると言っていたのを聞いて、サピックスの宣伝に利用されたのではないかと思った。今後公教育、義務教育に力を注いでいくことが大切である。 ・小川委員(民主党) 藤原氏のマスコミへの出方には過ぎたものがあるが、教育委員会としてきちっと対処しないのか。杉並は地域とのかかわりが低いが、自分としては学校支援本部がこれからそれをよくしていくとは思っていない。学校支援本部の活動には校長の承認が必要だということだが、学校支援本部の性格と矛盾するのではないか。 今回のことについて和田中の先生は全員が賛成したということだが、反対の先生もいたが言えなかったという話を聞いている。学校選択制があるために、生徒が減らないよう、次々にいろいろなことを始めているという、うがった見方もあるようだ。また、和田中に集まってくる子どもだけをよくすればいいと考えているとも見られているようだ。夜の安全対策は区としてどう考えているのか。和田中だけやって隣の中学はどうなるのか。公教育なのだから地域が同じスタートラインに立ってやらなければならない。 (3氏の発言は2008年1月25日の文教委員会で) また、教育委員会では「つくる会」支持の教育委員からも多くの疑義が出され、その委員は最後に「自分は成績のいい子どもの問題もあるが、『どちらかと言えば下の方』の子どもが『ちゃんと覚えて卒業してもらう』ことが基本であり、義務教育とは何かということについて十分に論議したい」と述べました(2008年1月23日教育委員会)。 実際、昨年度開講に当たって、夜スペには申し込みがほとんどなく、特定の部活に声をかけて生徒を集めたため、女子に片寄っていました。「ふきこぼれ」(成績上位)の生徒対象ということで、希望した子どもの中には断られた子どももいます。学年127人中たった17人が学校でボランティア手作りの夕飯まで食べて、校長先生も仲良く一緒に特別授業を受けるということをやっていました。このことについては和田中の保護者の間で批判的な人が多かったということです。 藤原氏の旗振りをしたマスコミの宣伝効果があったのでしょう、今年度の希望する生徒は増えましたが、手作りの夕食は廃止、教育の機会均等に反するという批判に抗せず、成績上位の子どもに限るのをやめ、能力別のクラス編成をして、すべてサピックスが対応しているということです。藤原氏が理念を持って始めたはずの「ふきこぼれ」対策も頓挫し、つまりは子どもという顧客のいる学校という市場に、私塾という企業を入れただけの結果になっています。しかも、すべてを独断で進め、規則や要綱、契約書(非常に不備で契約書の体をなさないもの)など必要書類はつじつま合わせのため、後追いで作成しています。 和田中の地元では、仕方なくついていってはいるものの、辟易としている保護者もいて、春には和田中の保護者が区内の全小中学校PTA会長宛てに匿名で内部告発の文書を送り、PTAの間で話題になりました。また、和田中の教員は藤原氏の「改革」を全く評価していません。和田中から異動したいという教員が多くいます。 5.まとめ 私は、重大事故を隠ぺいする藤原氏が誠実な人とは思いませんし、子どもの教育に携わる能力や資質があるとも思いません。また、教育「改革」以前に保護者同士がオープンに話し合えないような雰囲気の学校、会計さえ不透明で藤原氏の取巻きである地域本部、地元の隣接地域の町会長が直接話しに行けず、新聞に投書するしかない状態などなど……に信頼を抱くことができません。藤原氏の問題は、教育「改革」以前に、人間としての資質にあると言っても過言ではないでしょう。 このことは、与野党区議会議員や教育委員に藤原氏が信頼されていないことからも明らかです。区議会や教育委員会を無視してワンマンで進め、自己宣伝欲の強い藤原氏の体質は身近な教員、地元町会、保護者たちからも支持されません。 大阪でも橋下知事のもと、藤原氏を教育顧問として和田中と同じ教育「改革」が進められようとしていると聞いています。これから全国に広がる可能性も大です。私は地元杉並区民として、マスコミの知らせない和田中の実態を多くの人に知らせたいと思い、このレポートを書きました。 公教育は決して市場開放してはならないものだと思っています。市場開放すれば必ず企業の論理が入り込み、顧客への「サービス提供」を競うようになりますが、教育とは教員と子どもたちの共同作業であり、「サービス」ではないからです。
by lumokurago
| 2008-10-10 16:39
| 和田中夜スペ裁判
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