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『戦後思想を考える』 その2

第1章つづき

4、
 戦後日本が大成功をおさめたのは経済の領域であった。財界は「財界による財界のための」民主主義を、一部人民にも配給することに努力し、ある程度成功した。国民の生活の向上と快適の増大は結構なことだと言われれば、反対することはむずかしい。

 フランスの思想家ジョルジュ・フリードマンは、必要な対象と欲望の対象とを峻別することを主張した。人間は、生にとってほんとうに必要なものを慎重にえらばなければならない。かりたてられた欲望によって支配されることは、かえって彼の生活の喜びと生の開放感をそこなう。人間は政治の世界で主権者であるべきならば、生活の領域においても、主人公でなければならない。いまの私たちは、消費者は王様とあがめられることで、じつは奴隷におとしめられている。広告と市場の奴隷である。

 「必要な対象」と「欲望の対象」とを区別することはむずかしく、それは現在の消費や快楽への資本のがわからの無限のいざないにたいして、個人が自立的に自分の生活の仕方をつくりだすことができるかどうかという問題である。これができないと資本に管理されていく自分をゆるしていくことになる。

 日本の労働者の「生活の向上」や「快適の増大」は企業の海外活動に依存している。一度快適を知ったものは、それを自発的には放棄しにくい。海外への日本の経済侵略はさまざまな問題をひきおこしているが、いま公害輸出に反対して日本企業と正面から対立しているのは、孤立無援の無力な市民運動のグループだけである。

5、省略

6、
 ロッキード事件にたいして保守の政財界から自分たち自身をみなおすような真剣な議論は起こらなかった。日本の「自由」主義勢力は、最低の反省力や道義的な活力を失いつつある。革新勢力もまた、組織労働者よりもはるかに低い労働条件のなかで働く未組織労働者に眼をくばらず、社会的不公平にたいする初発の怒りを失っている。また「快適の哲学」に対しては意見をさけている。

 ここから引用
――保守も革新も、主体としてゆるやかに自己崩壊しつつある危機ではないか。全体的な自己崩壊のおそろしさは、責任をとるものがだれひとりとしていないままに、ゆったりと、もたれあいながら、退廃への道を歩んでいくところにある。かつて、日中戦争から太平洋戦争にはいるときがそうだった。8.15以後にもそれがあるのではないか。私たちは、軍国主義から民主主義へとなだらかにつづく坂道を歩いた。あるいは歩かされた。軍国主義から民主主義への移動が、こんなにも楽なものだと、だれが予想していただろう。いま私たちは、民主主義から、得体のしれない管理主義的全体主義へのなだらかな道を歩いているのかもしれない。下降していくことの気楽さに気づかないほどのスピードで。
 

by lumokurago | 2011-05-25 18:09 | 本(book)
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