人気ブログランキング | 話題のタグを見る

暗川  


写真日記
by lumokurago
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31
検索
リンク
ご感想をお寄せ下さいmailto:lumokurago@yahoo.co.jp

嫌がらせコメントは削除させていただきます。

必ずしもリンクするHPの意見、すべてに同調するわけではありません。ご自分で情報を選んでください。

原子力資料情報室

小出裕章非公式まとめ

沖縄タイムス

暗川メインページ
私の下手な絵などを載せています。

杉並裁判の会
私たちの裁判の会です

ポケットに教育基本法の会

「つくる会」教科書裁判支援ネットワーク

もぐのにじいろえにっき
もぐちゃんのページ

プロテア
リリコおばさんの杉並区政ウォッチング

鬼蜘蛛おばさんの疑問箱
松田まゆみさんのページ

熊野古道の路沿い
鈴さんのページ

風に吹かれてちゅちゃわんじゃ
小笠原父島で農業をやっているサエちゃんのブログ

三宅勝久さんのブログ
杉並区在住のジャーナリスト

カテゴリ
以前の記事
ライフログ
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧

「パレスチナ」を読んで

私が「『つくる会』教科書採択の陰で」という記事を書かせていただいた“DAYS JAPAN”の編集長広河隆一さんは23歳の時、キブツ(当時「理想の共同体」として世界に知られていた)に惹かれてイスラエルに向かった。

キブツで働きはじめてまもなく、第三次中東戦争(1967年6月5日~10日)を体験。イスラエルはこの戦争を「正義の戦争」と呼んだ。広河さんは「正義の戦争」という概念を受け入れることができず、イスラエルに疑問を持つようになる。

その後、広河さんは働いていたキブツの向こうに白い廃墟があるのを発見、それが何かをキブツのメンバーに聞いても誰一人答えてくれない、この人々は何かを隠しているのかもしれないと思い始める。
キブツ研修旅行の仲間たちが日本に帰ってからも、彼はこの疑問の答を得るまでイスラエルにとどまりたいと思い、一人で残った。そしてある時、白い廃墟はアラブ人の村だったことを発見する。イスラエルは建国後、多くの法律を作って合法的にアラブ人の村を破壊し、土地を接収し、キブツの手に渡してきたのだった。彼は、「村の人々が追放され、難民キャンプに押しこめられ、村が廃墟となったあと、その畑で働いていたことになる」。

広河さんはそうしたことをもっと知りたくなったが、歴史書にはイスラエルにとって都合のいいことしか書いていなかったので、真実を知るのは大変だった。が、彼はあきらめず、真実を知ろうとした。そして・・・

「私にとって、キブツが急速に色あせたものにみえはじめた。内部でいくら美しい社会を築いても、それが他人を追い出してその土地の上に築かれたものなら、何の意味があるのだろう。しかも地図から消えていく村々は、過去の話ではなく、現在進行形でもあったのだ」

それ以後、広河さんは何度となくイスラエルを訪れ、戦火の中の取材をつづけ、勉強し、この本を著した。

この本を読んで初めて、(勉強不足なのですが)、私の中で意味のない断片にすぎなかった単語・・・ユダヤ教、イスラム教、聖地、エルサレム、ガザ地区、ヨルダン川西岸地区、アラファト議長、PLO、パレスチナ難民キャンプ、イスラム原理主義、自爆テロ、シオニズム、ラビン首相、シャロン首相・・・etc.etc.がつながり、一つの世界となった。(この世界には当然ながら、ここにはない単語、「イギリス」「アメリカ」などもとてつもなく大きな位置を占めています)。

広河さんが「パレスチナ問題は、絶えず世界の火薬庫であり続け、投げかける問題はいよいよ大きくなっている。ここに南北問題、冨と貧困、占領と支配と植民地の問題が凝縮されている。この問題を解決できないままでは、人類は21世紀を生き延びられないだろう」と述べているように、この本には戦争はどのようにして起こるのか、戦争も平和も儲けを基準にして選ぶ権力者たち、人の命などなんとも思わず、ただただ自国の利益のために利用するのみの大国、そして虫けらのように虐殺されていくパレスチナの人々、その中での人間の尊厳、まさに泥沼化している報復の連鎖、その他あらゆる人間の姿があります。

今、日本が「戦争のできる国」になろうとしています。「戦争」とはどんな戦争でも、権力者が人の命などなんとも思わず(赤子を殺すこともいとわず)、自分の利益のためにおこすものです。その「利益」とは権力者のものであり、民衆のものでないことは明らかです。小泉は郵政はもとより(アメリカと日本の財界の儲けになる)、介護保険も改悪、障害者自立支援法でも弱者を切捨て、あからさまに民衆を馬鹿にし、権力者に奉仕させようとしています。

この本はパレスチナ問題を書きながら、永遠の権力者と民衆のテーマをも表しています。今、ひとりでも多くのみなさんに読んでいただきたいと思います。

この世界を「国」と「国」ではなく、「権力者」に対する「民衆」という視点で捉えることができたら、「民衆」がつながれたら、何か別の希望が見えてくるような気がします。でも、「宗教」の問題がある限り、それもむずかしいのでしょうか。考えさせられてしまいます。でも・・・

「人々の意志が戦争を止める日が必ず来る」(“DAYS JAPAN”の表紙より)

そう、私たちには「意志」があるのです。

by lumokurago | 2005-10-19 21:56 | 社会(society)
<< 八甲田・2 八甲田 >>