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杉並住民訴訟第1回口頭弁論

杉並住民訴訟第1回口頭弁論_c0006568_1725496.jpg
裁判所前の石崎さん(杉並の市民運動の草分け)と私

今日も大成功!!
生田弁護士に報告して、「先生がいらっしゃったら、また90点以上とおっしゃったと思います」と言ったら、「いや、100点かも知れんよ」

裁判官が「フレンドリー」と言ってもよいくらいの方でした。(それにだまされてはいけないけど、とりあえず)「普通裁判官はこんなことまで説明しないのだが、初めてなので・・・」と言って、いろいろと説明してくれました(全部を認めるわけではないが)。

意見陳述も大成功で、安倍裁判のハチャメチャさに比べ、とても裁判らしい裁判だったと思います(他にあまり知らないが)。

でも、「この間の方がおもしろかった」と言っていた傍聴者がいました。それはそうです。この間の裁判は素人が首相を訴えたけど、今回は区民が区長を訴えるということで、スケールが違いますもの。

傍聴者の方々は「とてもわかりやすい裁判だった」とおっしゃっていました。大切なことですよね。

準備書面(2)を紹介します。

平成18年(行ウ)第586号 杉並区扶桑社版教科書採択に関する違法な公金支出の無効確認等請求事件

準 備 書 面 (2)
2006年12月18日

昨年8月12日、杉並区は中学校で使う歴史教科書として「新しい歴史教科書をつくる会」主導の扶桑社版歴史教科書を採択しました。私たちはその採択に関わる公金支出が違法であるとして、その無効確認などを求めて、この裁判を提訴しました。
 
この教科書は全国583の採択地区の中でたった2ヶ所、杉並区と栃木県大田原市でしか採択されず、採択率はなんと0.39%にすぎませんでした。全国から“No”と言われたこの特殊な教科書を、なぜ杉並区は採択したのか? 言い換えれば、他の地区では拒否された教科書をなぜ、採択「できた」のか? このことを考えることから、この裁判は始まります。 

杉並区には、99.6%の不可能を可能にする何らかの力がはたらいたと見るのが自然でしょう。どんな力だろう、一体何があったのだろうと疑問は膨らんでいきます。

さらに、そんな不人気な教科書を選んだのはどんな教育委員なのだろう、そこまで人気のない扶桑社版とはどんな内容なのだろう? という疑問も浮かんできます。

これからこの裁判で採択手続きの違法性の有無などを問うていくにあたって、これらの疑問はこの裁判の行方に重要な示唆を与えるものです。第1回口頭弁論にあたり、この採択が行われた舞台裏を考えていただくために、少しご説明したいと思います。
 
 ★これが問題の教科書です。

中学校歴史教科書は8社から発行されています。8社の教科書の中で、扶桑社版は他7社から1社だけポーンとぬきんでて特徴的です。ここでは特に大きな特徴だけ述べます。まず、「古代」の「読み物コラム」3つのうち、2つに神話がとりあげられています。一つが「神武天皇の東征伝承」です。もう一つは「日本の神話」で、イザナギ・イザナミの命、天照大神とスサノオの命などについて、計3ページも使っています。神話について「調べ学習」までさせようとしています。【証拠甲第5号証】その上、扶桑社版のドリルには、次のような問題が載っています。【証拠甲第6号証】

*「日本書紀」で伝えられている、初代天皇とは誰か?
                        (正答:神武天皇)
*その天皇は誰の直系であると伝えられているか? 
  (正答:天照大神)
*その天皇が東征しているとき、道案内をして助けたと伝えられるものはなんであったか?                (正答:カラス)

私は8社の教科書を詳細に読み比べましたが、他7社で神話をこのように取り上げている教科書はありません。

 ★二つ目の特徴は、戦争の捉え方が偏っていることです。

コラム「歴史の名場面」の「蒙古襲来」「日本海海戦」の文章はまるで戦記物のようで、臨場感に溢れています。【証拠甲第7号証】学生時代に研究した戦争中の「桃太郎」を思い出しました。戦争中は児童文学者も戦争に協力し、戦意高揚のための「桃太郎」が何種類も書かれました。

「つくる会」系のグループが主催した模擬授業では、「日本海海戦」の授業に映像も使い、さらに戦意高揚をはかっていました。その「先生」は現役の小学校教員ですが、授業でその映像が終ると子どもたちから拍手が起こるそうです。まるで戦時中のようではありませんか。
 
扶桑社のドリルにはこんな穴埋め問題があります。ご覧下さい。
【証拠甲第8号証】

「日本の緒戦の勝利は、( ① )アジアや( ② )の人々に独立の夢と勇気を育んだ。( ① )における日本軍の破竹の進撃は、現地の人々の協力があってこそ可能だった。日本軍の捕虜となったイギリス軍( ② )人兵士の中から( ② )国民軍が結成され、日本軍と協力して( ② )に向けて進撃した。インドネシアや( ③ )でも、日本軍の指導で軍隊が作られた。」
        解答は ①東南 ②インド ③ビルマ

次は生徒自身に答を書かせる問題です。
 ①日本は、占領した東南アジアの各地で軍政をしいたが、東南アジア各地の指導者たちはなぜ日本の軍政に協力したのか。 
(答:欧米諸国からの独立を達成するため)
 ②数百年にわたってオランダの植民地とされ、『今に北方からやって来た人々によって、われわれは解放される』という伝説のあったインドネシアでは、日本軍をどのような軍ととらえたか。 (答:解放軍)
  
自分からこのような答を書かせられる子どもたちは、日本が東アジアを侵略し3000万人以上の人々を殺戮した事実を知ることはないでしょう。

 ★さて、こんなに不人気な教科書をあえて選んだ教育委員はどんな人なのでしょうか。
採択のための教育委員会から、その人となりを表わす発言を要約して取り上げてみます。

宮坂公夫教育委員は国語の審議で「平和の指向の強いものは避けるべきだ」と発言しています。また歴史の審議で、こんな発言もしています。

「さすがに『慰安婦』(の記述)はなくなった。よいことだ。沖縄の集団自決に軍の強要があったかどうか、事実はどうなのか、調べて書け」

沖縄の集団自決について、「つくる会」的な思想の方々は「軍の強要はなかった」と主張しています。仮に軍の強要がなかったとしても、「生きて虜囚の辱めを受けず、死して罪過の汚名を残すことなかれ」と教育したのは一体誰だったでしょうか? 軍がその時直接強要しなかったとしても、もっともっと以前から身体に染みとおるほどに国が強要したのです。
それに宮坂委員は「日本は他国に危害を加えたことはない」とも発言しています。

もう一人の教育委員・大蔵雄之助氏は「明治憲法の『天皇は神聖にして侵すべからず』は象徴天皇を昔の言葉で言っている」と発言しました。また、「原爆の記述が薄くなっているが、みんなすでに十分知っていて、どこでも調べられる。」などと発言しており、この教科書を使うのが戦後65年も経った今の中学生なのだということを完全に忘れ去っています。

さて、納冨善朗教育長ですが、この人は元区長室長で、区長の懐刀と言われた人です。区長に不倫問題が起きた時、もみ消したことで区長の信頼を得ました。納冨善朗教育長は、歴史の審議が紛糾した時、「率直に言ってどうでもいい。私の中で消化できない」と言いました。

安本ゆみ教育委員は「扶桑社版は戦争に向かう教科書だと思う」と言いました。この発言に対して、当時「つくる会」会長・副会長であった八木秀次氏・藤岡信勝氏の連名で、「扶桑社版の何ページ何行目からその評価に至ったか」などという公開質問状が送られてきました。「つくる会」は安本ゆみ教育委員を名指しで攻撃した中傷ビラまでまいたのです。
【証拠甲第9号証】

残るは丸田頼一教育委員長です。この人は司会でした。特筆すべき発言はありませんでしたが、おもしろいことに3:2の多数決で採択後、いいわけのように、次の言葉をつけたしました。

・検定を受けた教科書はどれも同じとの意見がある一方、編集方針、記述内容等の間違いも指摘されている。

・より自由な編集方針とコンセプトで作られた本を教科書として認定する、認定制度の導入を早急に検討すべきと考える。

・教科書の採択システムについても、今後教育委員会から各地域運営学校の学校運営協議会に委ねることも考えられる。

・教科書を主教材として、学校では一切使用せず、教師たちが主教材を別途用意している学校も知っている。教科書を副教材とすることは、ドイツ等先進国では一般的なことであり、今後我が国でも幅広い普及を期待する。

・社会科の歴史については、扶桑社を採択することになったが、教科書の内容を補完する立場から、補完ガイドラインを示すとともに、杉並区教師用指導書概要も提示し、教員の便宜を図るべきものと考える。

この言葉を丸田委員長は「委員長コメント」として発表しました。【甲第10号証】それが新聞報道されたところ【甲第11号証】、丸田委員長は8月16日、以下の内容の「委員長補足コメント」を発表しました。

・委員長である私のコメントは、個人の資格で述べたものであり、委員の合議に基づいた結果ではない。

・教科書を主教材としないことを提案したものではなく、次年度以降、杉並区においては、今回採択された教科書を全て主教材として使用するのは当然のことである。

・補完ガイドライン・杉並区教師用指導書概要について触れたが、その補完の内容は、「地域調査」や「各時代の生活、文化、教育、産業」をさしている。【甲第12号証】

採択後、教育長も「教育長コメント」を出しました。【甲第13号証】
 ・杉並区教育委員会では、自治体基本条例の趣旨に従い、審議を公開し、また、抽選に外れた傍聴希望者のために別室を設け、教育委員会の議論をスピーカーで流した。

 ・調査委員会の報告書や独自の調査、知見を踏まえて審議を行い、採択を行ったことは公開審議で明らかである。

 ・採択された教科書は国の検定を合格したものである。

採択にうしろめたいことが何もないならば、なぜ教育長はいわずもがなのこんなコメントをわざわざ出したのでしょうか? 扶桑社版は調査報告書では最低の評価だったため、「国の検定に合格している」この一点をしか採択の根拠にできなかったからです。ここにしがみつくしかなかったのです。違法なことをせず、普通に採択したならば、言い訳する必要はありませんでした。ただ堂々としていればよかったのです。

扶桑社版を選ぶこと自体が全国の新聞ネタになるような「不可能を可能にした」異常事態であり、「不可能を可能に」するために行った違法行為の一端を担った教育長、教育委員長はさすがに「知らぬ存ぜぬ」ではいられず、最後に言い訳せざるを得なかったのです。

このような教育委員を選んだ山田宏区長がどんな人物であるのかに、次は興味をもたれたことでしょう。次の準備書面でそれを明らかにします。
                               以上

by lumokurago | 2006-12-20 17:39 | 杉並教科書裁判
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